夫に裏切られ、子どもを連れ去られた女性を描くほうが

同性の共感をたやすく得られやすいのでしょうね

が、本作品の主人公である希和子は、妻のいる男性を愛し妊娠したが

中絶せざるを得なくなり、その悲しさ、辛さから男性の家に押し入り、

生まれたばかりの赤ちゃんを誘拐してしまうのです。



そして、奇跡が起こるシーン。

泣いていた赤ちゃんが 希和子を見て 急にニコニコ笑う。

彼女の顔が柔和になり 時が一瞬 止まる。。

この天使のような笑顔が 彼女に母親の気持ちを持たせたのでしょう。




どしゃぶりの中、赤ちゃんを抱いて 走って 逃げる・・・。

各地を転々として、最後に小豆島へたどり着く。



    
    ■Jewel Box■ ■Jewel Box■



希和子(永作博美)は、一日でも長く、本当の娘として愛している薫と一緒にいたい、と

思う反面、どこかで捕まえてほしいと願っていたのかもしれない。



   
    ■Jewel Box■
                  

                    (C)2011「八日目の蝉」製作委員会



希和子は、”薫”の心とからだを いつも抱きしめているのです。

「一緒にきれいなものを たくさん見ようね。」と

限りない愛情を降り注ぎながら。。



    
    ■Jewel Box■ ■Jewel Box■

    (左)誘拐事件を記事にしたいというルポライターの千草(小池栄子)



薫という名前は、自分を誘拐した母である希和子がつけた名前。

恵理菜(井上真央)は、辛い過去を背負っているにも関わらず

まっすぐに生きている女性。

でも、偽の母親への愛情が忘れられず、

本当の母親に親しむことができないというやりきれない哀しさ。



ラストシーンで、

「愛してはいけないのに、憎まないといけないのに、、できない…。」と

恵理菜が希和子への愛を吐露するところは、、、

涙がぼろぼろと流れてきて泣けました。



小豆島のキラキラ光る海の映像に

中島美嘉さんの「Dear」が流れますと、

より哀愁が漂い、切ない気持ちになります。




本音のレビューふきだし(ハート)



人って、こんなにも愛することができる、

また、これだけ愛されると忘れようにも忘れられない…。



永作さんの薫を見る目が、愛おしくてたまらないという

母親の表情で渾身の演技でした。



「今日も1日無事でありますように。

明日も薫と一緒にいることができますように…」


ただただそれだけを願っていた女性の痛ましい哀しみと

それを生き抜く強さが、よく描かれています。



ここに出ている女性たちが、それぞれ幸せになってくれることを

願わずにはいられません。。  涙