蝉は地上に出て、わずか7日の命。
主人公の希和子は妻のいる男性を愛し、妊娠したが中絶せざるを得なくなり…、
その深い悲しみ、辛さから、男性の家に押し入り、生後間もない赤ちゃんを
誘拐してしまう。
幼児誘拐という忌まわしい犯罪を、これほど切なく描いている物語は
あるだろうか。
とんでもない罪を犯してしまった女性が、
誰よりも子を思うやさしい母親になっていく、その悲しい逆説。
ひっそりと心を押し殺すように生きながら、逃避行を続ける…。
本来ならば死んでしまっているはずのその様を、
必死に生き抜こうとする蝉の姿にたとえたものです。
産みの母と育ての母。
果たして、血は水よりも濃いのだろうか。。
親子とは、を問う角田光代氏の力作です。
NHKのドラマでは、希和子役を檀れいさんが扮しましたが、
映画(4月29日公開)では、永作博美さん。
視点を変えて描かれていますので、見ごたえあり、です。
先日、試写会で鑑賞いたしましたが、ネタばれになりますので
後日、友人と観にまいりますので、そのときにレビューを書く予定です。