世襲制度である国王の座には、どんなに口下手であっても
就かざるを得ない場合、ノーとは言えない。
そして、吃音であっても、国民を前にしてスピーチすることから
逃れることはできない。
その心中を慮ると、如何ばかりかと・・。
主人公であるジョージ6世(コリン・ファース)は、
王になるには致命傷ともいえる吃音に、幼い頃から悩まされている。
冒頭シーンで、国民の前でマイクを通してスピーチする姿は、
こちらまで、息がつまるような緊張感が伝わってきます。
原題: THE KING'S SPEECH (2010年 英・豪)
ジョージ6世のうろたえ方は尋常ではなく、どこかしら人間味を感じさせる。
妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム・カーター)が、 (← この妃殿下は、素晴らしい女性。)
探したスピーチ矯正の専門家ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとを尋ね、依頼する。
平民であり、それもオーストラリア人であるライオネルの治療法は、
「私たちは平等だ!」と宣言して、互いに愛称で呼び合うことを提案。
喫煙は禁止、無遠慮な質問を繰り返してプライベートに踏み込んでくる。
いわゆる「相手の懐に入る」ということでしょうか。
皮肉屋で決して愛想がいいとはいえないライオネルですが、
ジョージ6世の弱さをすぐさま見抜く洞察力、それを根気よく解きほぐしていく様は、
感じ入る、一言に尽きます。
(C)2010See-SawFilms.Allrightsreserved.
いつも言葉少なに、夫の傍に寄り添い、時には励ますエリザベスが
なんとも言えず、愛しくもありエレガント。
自らの運命とコンプレックスに悩み、苦しみ…、
滑稽ながらもがきながらも、いつしかそれを乗り越えてゆく。
身をもって勇気づけてくれる王のひたむきな姿に
熱い感動を覚えました・・・。
この作品では、
エドワード8世とウォリス・シンプソンの世紀の大ロマンスと
ジョージ6世の感動の実話が描かれており、
とてつもなく華やかで粋な人間ドラマです。
本音のレビュー
古典なのに古くはなく、
静かなのに、情熱的。。
人と人が向き合うのに、
地位や職業は関係ない。
あくまで、真摯に心と心が向き合うことなのだと、
教えてくれる秀作。
ラストで、戦禍に怯える国民へのスピーチには感涙…。
( ↑ナチスドイツの映像もあり)
明日のアカデミー賞、
個人的に本作品ではないかと思っております。