世界の金融マーケットの中心地であるNYウォール街。
前作 『ウォール街』 が公開された’87年は、
世界的な株安 ”ブラックマンデー” の年でした。
マイケル・ダグラス演じる、ゴードン・ゲッコーのモデルとされる
投資家アイヴァン・ボウスキーが活躍した80年代後半は、
空前のM&Aブームに沸いており、敵対的買収が横行していました。
ボウスキーは、こうした手口を繰り返して巨額の利益を得ましたが、
86年にインサイダー取引で逮捕されました。
人間は愚かな生き物で、過ちを繰り返し、
また世界的な暴落を起こしてしまう … 。
原題: WALL STREET: MONEY NEVER SLEEPS
「ウォール街」の中で、 「欲は善である」 と豪語していた
ゴードン・ゲッコーが、刑務所から一人淋しく出所するシーンから始まります。
何もかも、時が止まったまま。
最先端を走っていたかつてのカリスマ投資家が手にするのは、
昔の彼だったら似合わない大きくて古いケイタイ。
チャーリー・シーン扮するバドも登場します。
前作を見られた方なら、思わず笑ってしまうセリフに要チェック!ですよ。
シャイア・ラグーフは、ゲッコーの娘ウィニーの恋人役で
投資銀行に勤務。
その母親役は、スーザン・サランドン。
作品は、『依頼人』、『デッドマン・ウォーキング』、『告発のとき』 など。
ブレトン・ジェームズは、金融業界の強欲を象徴する、
悪役ブレトンを不敵なまでに演じていたところは、まさにハマリ役。
またもや、人間の倫理観の欠如(モラルハザード)や強欲によって
引き起こされたサブプライムローン、リーマンショック、世界金融パニックによって、
あらゆる価値観が見直される現代の時代性を鋭く描出している作品。
現役復帰したゲッコーが、疎遠になっていた娘のウィリーや
恋人ジェイコブとの葛藤や愛情を映し出していたのは救いかな。
(友人とこの点では意見が違ったけれど)
欲望や妬み、復讐といった中で、
ラストでは、冷酷なゲッコーも希望を見いだせたのはよかった。。
オリヴァー・ストーン監督は、今回も金融業界に鋭く切り込んだ
牙のある作品を見事に作られましたね。
本音のレビュー
できれば前作を観てからのほうがより楽しめます。
投資の専門用語がかなり出てまいりますので、
「なぜ、そうなるの?」と分かりにくいかもしれませんが、
全体を通しては、奥の深い人間ドラマです。
彼らたちのリスクヘッジも、らしくて面白い。
ゲッコーが講演会で、
住宅ローンやレバレッジの怖さを解くところは
説得力がありますよ。(←個人的に同意です。)