明治、大正、昭和を生き抜いた女性というのは、筋が通っていて
いつも敬意を表するのですが、本作品は、
彫刻家イサム・ノグチの母、レオニー・ギルモアの生涯が描かれて
います。
いわゆる労働者階級のレオニーが大学を卒業して編集者となり、
日本人留学生、野口米次郎(中村獅童)と愛し合うようになる。
子供を身ごもるのだが、野口は日本に帰国してしまう。
レオニーは、ひとりで子供を生む決意をするのです。
日露戦争後、子供とともに日本に来た彼女は、夫に妻がいることが
わかり、自立していくのですが、ここからが凄い。
日本語が話せない中、息子の才能を発見し、開花させるのですから。
地味だけれど、美術や音響が素晴らしく、
丁寧に作られている感がいたします。
この母にしてこの息子あり、といった代表作。
中村獅童さんをはじめ、俳優人が好演していて、
母性の鑑 となるような女性が描かれています。
松井久子監督が、推敲を重ねただけあり、
力づけられる崇高な作品。