世の中では、とかく善と悪に分けたがる。
面白可笑しく話題になるのは、悪のほう。
土木作業員である清水祐一は、
短大を卒業して社会人になったばかりの石橋佳乃と
携帯サイトで知り合い、殺害してしまう。
物語は、その死体を遺棄した容疑で逮捕されたことから
始まる。
それは、珍しく九州に積雪のあった、真冬の夜のことで
あった。
事件を過去に遡り、現在へと時間軸で表現されています。
現代社会の薄暗い部分を浮き彫りにさせながら
祐一の心情とを上手くリンクさせています。
確かに感情表現が下手で、多くをのぞまない祐一は
果たして、『悪人』だったのであろうか。。
彼の背景が、どこかもの哀しい・・・。
読み終わりますと、何が善で、何が悪なのか、
考えさせられます。
人の心の奥底に流れる、説明しようのない感情を
描ききっている、吉田修一氏の会心の作品。
毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。
魂を揺さぶるベストセラーは、今秋9月11日よりロードショー。
妻夫木さん、深津さんが出演されますので楽しみです。
読み出したら止まらなくなるほど、惹き込まれます。