ある中学校のホームルームで、

愛娘を校内で亡くした(殺された)女教師の『告白』から

始まるという異色なストーリー。



女教師役である松たか子さんの感情を押し殺した、

淡々とした語り口が逆にこわいくらい。

時折り見せる抑えられない怒りと悲しい思いが

今にも爆発しそうで、その場に漂う緊張感が

観ている側にも伝わってくるほど。



ここでは、少年法、エイズ、教育、殺人、いじめ、報復など

さまざまな問題をはらみながら、複雑に絡ませていく・・・。

「親が悪い」とか「社会が悪い」という短絡的なひとことでは

済ませられないくらい考えさせられます



根っこの部分は、

「愛されたい」、「もっと注目を浴びたい」ということだったのに・・・。

わけ

理由もなくひとを傷つけたり、残酷なことをしているのに、

それを軽~く冗談でうそぶきながら、

煙に巻くような大人顔負けの腹黒い少年たち。





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                                    (C)2010「告白」製作委員会




ラストシーンで松さんが言い放つひとことは、

まさに、現代の世相を表現しているのではないでしょうか。



昔、観ました松本清張原作の『疑惑』のラストシーンで、

球磨子(くまこ)役の桃井かおりさんが、弁護士役の岩下志麻さんに

言い放った捨てセリフが脳裏に浮かびました。



表面上は、真面目でお手本になるようなセリフを言いながら

心の中で舌を出すといった少年、少女たちを見ていたら

何だかやりきれなく・・・。



弱いものがもっと弱いものをいじめ、真実と虚偽

正義と悪が交錯する、ある意味人間の真の姿を

映し出しているのではないだろうか。

ボタンをひとつ掛け違えるだけで、

まったく違う人生になってしまうことへの警鐘と

私は感じられずにはいられなかった。



犯人Aクンが、自分で発明した『時間の戻る時計』を

ぼんやりと見つめていたシーンがもの哀しい。





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原作は、本屋大賞受賞作の湊かなえ氏。




            クラムボンは笑ったよ