父親の顔も知らず、薬物中毒の母親や兄弟とも離れ、
雨風をしのぐ場所もないほぼホームレス状態の少年、
マイケル・オアー。
のちに、アメフト全米代表選手となったマイケル・オアーの
実話です。
原題の『THE BLIND SIDE』とは、
アメフト用語で、死角、盲点という意味だそう。
彼は、誇りと愛情のために、ブラインドサイドを守るように
なるのです。
真冬の夜、震えながらとぼとぼと歩いているマイケルを
偶然見かけ、車に乗せて自宅に連れ帰った
リー・アン(サンドラ・ブロック)。
最初は同情からだったのでしょうが、マイケル(クイントン・アーロン)
の悲惨な幼年時代の話や行動を見ているうちに後見人になります。
リー・アンや夫のショーン・テューイ(ティム・マッグロウ)夫婦は
さりげなく手を差し伸べるが甘やかさない、が、彼のプライドを尊重する
といった大らかで敬虔なクリスチャン。
知的で自分の主張をきちんとするりー・アンは、
気立てがよく愛情に満ちあふれているエレガントな女性。
マイケルの人並みはずれた『保護本能』を見つけ、それを
上手に引き出していくのです。
美しいだけではなく愉快なサンドラには、適役でしょう。
この夫婦の子どもたちも、素直で優しく育っており、
S・J・テューイ(ジェイ・ヘッド)が、おしゃまで可愛いです。
リー・アンとアメフトのコーチとのやり取りや、
マイケルとS・Jとのアメフトの練習が面白く、
思わず笑ってしまいます。
マイケルは決して愚かなのではなく、
ただ、勉強する機会がなかった・・・。
周りの人たちは、彼に対して学問を教えるだけではなく
彼らたちも彼によって学んでいくのには感動します。
マイケルの哀しい目が、この陽だまりのような温かい家族に
出会ってから、楽しそうな目に変わるのです。
まだまだ、人種差別が色濃く残っている米南部だけあって
リベラルではないこの家族に対して、かなりの批判があった
とのこと。
でも、それをものともせずに一人の人間に対して、
童話を読んであげたり、あたたかいベッドを用意することは
なかなかできないことだと私は尊敬の念を抱きます。
真摯にまっすぐに生きているマイケルと
温かいステキなファミリーに乾杯!