遅まきながら、やっと観ることができた『おくりびと』。
今まであまり触れられなかった『納棺師』という職業に就いた
元チェロ奏者、大悟(本木雅弘)の物語です。
人間に平等に訪れる”死”というものを、あまり重々しくなく
時には笑いも織り交ぜながら描かれています。
一番最期に、このように丁寧に死に化粧をしてもらい、扱ってもらえたら
本望だと感じる場面です。
近親者を送り出した経験のある方でしたら、感慨深いところでしょうね。
右は、生きていくためには、一生懸命”食べる”ことも必要不可欠なんだと
いうシーン。
別のシーンで、社長役の山崎努さんがフグの白子焼きを美味しそうに食べる
シーンがあるのですが、伊丹映画を彷彿とさせますね。
やはり、奥の深い演技をされています。
(監督:滝田洋二郎 脚本:小山薫堂 2008年)
右は、家族を捨て家を出て行った父親から教えてもらった『石文(いしぶみ)』を
妻(広末涼子)に教えているシーン。
左は、馴染みのお風呂屋さんでくつろいでいるシーン。
あとでわかるのですが、いつも話をしていた男性は火葬場で働いていたのでした。
「死ぬということは終わるのではなく、そこをくぐりぬけて次へ向かう門だ。」と
言った彼のセリフは、心に響きました。
山形の四季折々の映像が美しく、何気ないセリフのひとことひとことまで
神経が行き届いていて惹きつけられます。
本木雅弘さんが、『死に装束』の着物を扱う所作が流れるようで美しく、
これだけでも感動モノでした。