第81回(2009年)米国アカデミー賞(短編アニメーション部門)を
受賞した『つみきのいえ』がやさしくて癒される絵本になりました。
(絵・加藤久仁生 文・平田研也)
海の水がだんだん上がってきてしまう町に、
積み木のようにひとつひとつ積み上げたいえに
住んでいる、あるおじいさんの物語です。
絵本のページをめくると、ひとつひとつのいえの回想が
ふわ~っとした淡いクリーム色基調の水彩画と
やわらかい仮名だけの文体で綴られていますので、
心の奥底がじんわりとしたあたたかさにつつまれます。
この積み木のいえにたとえられているのは、
おじいさんの人生そのもの。
3年前に亡くなったおばあさんのエプロンを使っていたり、
おばあさんが亡くなる時に、手をにぎっていたおじいさん。
(ここのくだりはとっても微笑ましく、羨ましいとさえ感じました。。)
言葉でやさしいことはいくらでも言えるけれど、
本当の愛情は、こういうことでわかるもの。
幸せって何気ないところにあるのだと気づかせてくれる、
切なくて温かい、そして、何度でも読み返したい絵本です。