ミュージカルのベースとなっているのは、デュマ・マチスの長編小説『椿姫』。
言わずと知れた、高級娼婦のマルグリットと彼女に恋する青年アルマンの
物語ですね。
共同脚本家のアラン・ブーブリルとクロード=ミッシェル・シェーンベルクの
コンビは、貴族が世を謳歌した19世紀半ばの社交界から、第二次世界大戦
のドイツ占領下のパリに設定を置き換えたのです。
しかも、主人公のマルグリットを高級娼婦ではなく、パリを占領するドイツ軍の
将校オットーの愛人に。
Story
第二次世界大戦下のパリ。
ナチスの占領下に置かれ、緊迫したムードの漂う中にも関わらず
かつてコンサートホールを沸かせた歌姫・マルグリット(春野寿美礼)は、
ドイツ将軍のオットー(寺脇康文)の寵愛を受け、贅沢三昧の日々を
送っている。
40歳の誕生日を迎えた夜、仲間たちと浮かれ騒いでいたマルグリッド
にオットーの怒りが爆発する。
それに助け舟を出したのが、パーティーのためジョルジュ(横内正)に
雇われたスウィング・バンドでピアノを弾くアルマン(田代万里生)だった。
と、突然の空襲が起き、シェルターの非難を拒むマルグリットに付き添うアルマン。
彼は、かつてコンサートで”チャイナドール”を歌うマルグリットの姿を見て以来、
密かに想いを寄せていたことを告白する。
爆音が響く中、二人は激しい恋に堕ちていく・・・。
(ここは見所で~す)
時同じくして、パリではナチスによるユダヤ人への迫害が強まっていた。
バンドメンバーであるアルマンの姉・アネット(飯野めぐみ)の恋人であり、
ベース奏者のルシアン(tekkan)はユダヤ人であることを隠していた。
だが、同じバンド仲間のピエロ(山崎裕太)の不注意から、追われる身となって
しまう。
混迷する戦況とともに、複数の思惑が絡み合い、もつれていく人々の絆。
そして、マルグリットとアルマンの関係をオットーが知るところとなり・・・。
『アンネの日記』、『カサブランカ』やプロデューサーコンビの代表作である
『ミス・サイゴン』と、頭の中でどこか重なり合う劇的なストーリー。
とにかく、春野さんと田代さん、飯野さんの声が素晴らしく、
この極限状況での熱烈な恋愛の悲哀さ、甘美さをより増していました。
戦争によって、二つの国家の狭間に立つはめに陥り、
祖国パリの友人たちから、”売国奴”と罵られながら
愛するアルマンの腕の中で最期を迎えるマルグリット。
ハッピーエンドではないですが、悲恋だけでは終わらない崇高な愛
が描かれており、全てを音楽で語っているところに感動。
スタンディングオベーションが起き、
4回もカーテンコールに応えてくださったのですよ~
山崎クンが自分たちに拍手をして、寺脇さんに頭をポンとされる
場面も。
春野さんが、ラストで両手を挙げて登場された時は、宝塚時代みたいで
本当にオーラがすごく、今回はセクシーな女性の役柄なのに
カッコよかったです。
まだ余韻が残っているほど心に響く作品でした。。