西加奈子さんの「円卓」、読了しました!

読むに至ったきっかけは、私の好きなYouTuberナナオは立派なユーチューバーさんが動画内で、「この本を読んでいない人は日本人とは認めない」と断言していたのを見たから!ww

 

実際読んでみて…めちゃくちゃよかったラブラブラブ

西加奈子さんの本は読むの初めてでしたが、西加奈子さんのほかの作品もこれから優先順位高めで読んでいきたいと思いましたね!!

 

8歳の女の子、琴子(通称こっこ)は、団地でたくさんの家族と生活しています。お母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん、三つ子の姉…そんなこっこの好きな言葉は8歳児にして「孤独」。孤独という感情がかっこいいもの、愁いを帯びていて美しいものだと思っており、国籍が違う同級生や家庭環境が複雑な同級生、吃音や不整脈などの病気をもつ同級生を羨ましがっていました。小説内では約半年ほどしか時間が過ぎていないのですが、その半年でこっこは友達からの言葉、様々な体験や環境の変化を経て少しだけ大人に近づいていくのです。

 

…とまあ簡単なあらすじはこんな感じでしょうか。こっからは率直な感想。

 

読み始めた序盤のほうは、正直読むのがきつかった滝汗幼いころの自分の中二病的な思想とこっこの思想が重なって共感性羞恥というか、なんか忘れかけてた黒歴史が思い返されるような…w

よむのきちーなーと思いながら読み進めていくなかで救われたのは、こっこと同じ団地の吃音のあるお友達、ぽっさんの存在びっくりマークこの子がまあ、大人なんですほんとに。こっこのちょっとゆがんだ(いやかなり?w)思想を、いつも大人なアドバイスでうけとめ、傷つけない程度に模範解答のようなアドバイスをしてなだめるのです!w

 

私がこっことぽっさんの掛け合いで好きなシーン(多分読んだことある人ならここが好きって人は多そう)、夜の団地でつきそいの石太と三人でしゃべってるシーンですね。こっこは、その日の学級会で不整脈を起こしてしまった学級委員の朴君を羨ましく思い、自分も不整脈で苦しんでいる演技をしました。そしたら担任の先生に「こっこのは違うやろ」といわれ、こっこは先生に怒られたと感じました。しかしこっこは、自分がかっこいいと思った不整脈を真似してるだけでなぜ怒られなきゃいけないのかわかりませんでした。そんなこっこにぽっさん、「ことこが朴君を馬鹿にしているわけじゃないのはよくわかる。でも、健康な人があかんことを真似するのはあかん。馬鹿にされてると思われるんや。」と、自身が昔吃音をこっこに真似されていたことを例に出しながらやさしく諭しました。また、「相手が不整脈をどのくらい嫌だと思っているかどうかにもよるのではないか。どのくらいいやだとおもっているかは、想像するしかない。」とも。

 

え??大人すぎませんか?カウンセラーか何か??私ですら、もし同じ相談を8歳の女の子にされたらこんな神解答できる自信ありません。笑い泣き

このシーン、先生がこっこに馬鹿にするな!!とかどなったわけではないのに、こっこは違うやろ、と言われたときの先生のいつもとは少し違う目つきだけであ、怒られた、と気づけたこっこにも私は拍手を送りたいですパー空気が読めなくて鈍感な子供にしか見えてなかったけど、意外と人の機微に気付ける子なんだなと思いました。

 

あとは、何気に担任の先生!先生の心理描写で一個好きなのがあるんですよね。夏休み明けの教室をみるとすっかり成長して様変わりした生徒たちがいます。「日に焼けたみんなの顔を見、その圧倒的な変化に、怯えに似た感情を抱く。自分だけが取り残されているような気分だ。子供らが向かうのは自分と同じ死であるはずなのに、彼らは凶暴に成長していく。いつかこの子供たちが、今の自分と同じような気持ちになるとは到底思えない。この子らの延長に、自分のような人間がいるのか。では自分も過去、こんなにまぶしかったのだろうか。」

 

いやあ…切ない泣ゆうて私もまだ21歳になったばかりなので共感!とまではいかないけれども、基本この本はこっこやその周りの子供たちの未熟で繊細でストレートな心理描写が多かったため、急に挟まれた大人の心理描写は、急に今の自分の気持ちとつながってきてハッとしましたね。わたしもこんなにまぶしかったのでしょうか…?いや、まだ輝けますよね私も(言い聞かせ)

 

こっこが成長して物語が終わっていくことがわかるのは、こっこの渦原家に新しい家族ができたという報告に対するこっこの心境の変化で見ることができます。こっこは新しい家族ができることをまったくうれしく思っていませんでした。「新しい家族が誕生したら手放しで喜ぶものだという当たり前、それが気色悪い」みたいなことをいっていましたねwいやあほんとにこっこはなんでそんなにある意味感受性が豊かなの??ww

以前こっこは、別に死ぬことが怖いなんて思っていない。なんなら死にたいと思うことがよくある、といっていました。しかし、夏休みの最後のほう、夏休み中ある事件に巻き込まれたこっこの話聞いてぽっさんは、夕焼けの中、その時こっこと一緒にいてあげられなかったことを悔やんで泣きながら謝ります。そのときにこっこは初めて、「死ぬことを寂しい」と思うのです。「ぽっさんが先に死んだらきっと自分は泣くだろう。自分たちが死んでも、きっとずっとそのままであり続けるだろう夕焼けを、きれいで、寂しいと思った。」

なんとまあ、こっこの内側から湧き出てきた感情だとは思えません!wでも、こっこはこのひと夏で、初めて本当の意味で「寂しい」「死にたくない」という感情を経験したのです。

 

私たちはいつ、寂しいとか死にたくないみたいな感情を覚えたんでしょうね。今となっては今更追及するようなものでもないくらい当たり前に人間に存在している感情のように思えますが、私たちもどこかで会得してるんでしょうね。。。これがサイコパスとこっこの違いかな?w

こっこという一人の女の子の成長を見ることで、わたしも改めてその感情が生まれる瞬間のようなものに触れることができました。

 

最後に、西加奈子さんの本お初にお目にかかった私ですが、なんか、独特!と思いましたwこの本だけ?それとも全部?

だってまず、この本の語りが安定しないんです。基本はこっこなのですが、途中でこっこの家族だったり同級生だったり担任だったりに変わって、またすぐ戻って、を繰り返すんです。また、こっこの心理描写のなかに急につっこみが入ったりするんです。こっこではない、読者のつっこみ?のようなものが。それにちょっと戸惑いましたあせる

また、この物語も、ファンタジーのようでファンタジーではない、何か起こりそうな雰囲気でありながら何も起こらない、みたいな感じでした。終始。だけどいろんな場面で考えさせられるし、大きな出来事が起こったというわけではないのになにか壮大な物語を見せられたような気分になりました。私、好きです、この本。ドキドキぜひ今後西加奈子さんの本、いろいろ読んでみたいなと思いました!

 

物語はまた夏休み明け、学校が始まったところで終わりましたが、いやあ、、もっと見たい!!こっことぽっさんがどんな人間に成長するのか、どんな人生を送るのか、最後まで見届けたい気持ちにかられました。こっこはマジで、大物になりそう…グラサン

 

まだまだまだまだ書ききれないくらい一つ一つの場面で感じたことはたくさんあるのですが、このくらいにしておきます、、、

 

それじゃあまた次、新たな本の旅に出てきます!!爆  笑爆  笑爆  笑