毎年この時期になると、東大京大合格者数ランキングや、国公立大学医学部合格者数ランキングなどが更新されますね。

 

こういったランキングを単純に見て、順位が上の学校がよりレベルの高い学校かというと、そうではないですよね…

 

まず、合格者数ランキングで見ると、生徒数が多い方が単純に有利のように思えます。

 

そこで、生徒数に対する合格率ランキングなるものが出てくるわけですが、合格率ランキングでも浪人生を含めると、また事情が変わってきます。

高額な授業料を払って私立中高一貫校に進学する場合に、高校受験を回避できるということが大きなメリットですが、単に高校受験を回避できるだけであれば、高校受験の代わりに中学受験をしているわけですから、プラスマイナスゼロです。高校受験を回避できるということは、先取り教育ができることで、おおよそ高校2年の終わりには、高校過程の学習が終わっているということ、つまり高校3年生の1年間をまるまる大学受験に充てられるということです。個人的には、公立高校の1浪と、私立中高一貫校の現役は、ほぼ同じ状況だと思っています。

 

そこで、現役合格率ランキングが出てきます。私立の授業料を払っているのだから、現役率をみたい!と。

しかし、合格率ランキングになると、生徒数の多さによる有利不利は無くなりますが、今度は学力の向上に特化していないスポーツコースなどを併設している学校が、不利になります。やはり学力の面で大学進学を目指しているコースの生徒を指導した中で、どれだけの合格率かというのが知りたいわけです。

 

とある私立中高一貫校(1学年100人未満)の先生が、

『うちの学校は生徒数が少ないから、合格者数は少なくなるから不利。合格率で見てもらえば、進学校と変わらない。』

とおっしゃっていたと人づてに聞きました。

 

ここにも突っ込みどころがあります。

 

その学校で、生徒数を倍にしたら優秀な生徒が倍になるかというと、甚だ疑問です。生徒数を倍にしたら、通常は合格点が下がるので、どの能力の生徒も満遍なく2倍に増えるのではなく、下位の生徒が増えます。そうすると、難関大学や医学部への合格者数は増えずに、さらに合格率も下がるということになります。

 

ということで、合格者数が多い学校は、たとえ母数が多かったとしても(合格率は高くなくても)、優秀な生徒を集める力があったということは評価できると思います。

 

 

もう一つ、東大合格数ランキング、京大合格者数ランキングでは、何学部に何人合格しているかも重要です。

ランキング上位になっていても、学部によってかなり難易度が違います。

東大京大の医学部を目指しているなら、医学部に合格者が何人出ているのかをみる必要があります。異なる二つの高校からの合格者数が同じでも、医学部(東大なら理科Ⅲ類)の合格者数が0であれば、その学校のトップになっても、東大京大の医学部へ進学するのは難しいということです(もちろん、優秀な生徒が皆、最難関医学部を目指すわけではないので、たまたま医学部志望者がいなかったということもあります)。

 

ランキングの上位に入るために生徒の学部変更を誘導していた(より合格しやすい学部の受験を勧める)、などという話が出て、批判された学校もあったと記憶しています。