亡くなる前日は

下痢と嘔吐で汚物まみれだったマロン

 

スタッフに

拭いてもらい

毛を梳かしてもらい

綺麗にしていただいた

 

待っている間

ドクターの奥様が、庭に咲いている花で

かわいらしいブーケを作って

マロンに添えてくださった



マロンはほぼ月の半分を

この動物病院で暮らした

 

院内と外のお庭を自由に放し飼いされていたようで

わが物顔で歩き回っていたそうだ

 

特に

毎朝ご飯をくれるスタッフが好きで

誰にも簡単にはなつかないマロンも

そのスタッフにだけは

なついていたと

私の知らないマロンの話をいろいろと聞かせていただいた

 

家に入る前に

マロンが唯一なついていた

お隣のおばさんに顔を見ていただき

一緒に大泣きしてくれて

すぐに、マロンのために

お花を買ってきてくれた

 

家の中は

マロン基地がリビングに9か所も作ってあるが

中でも一番お気に入りの

窓際にお花と共に寝かせて

夕方までずっとマロンと泣きながら話し続けた

 

朝のぬくもりは

冷たくはく製のようになってしまっていた

 

夕方火葬場に行く前に

母にもお別れをさせるために

施設に寄った

 

母もマロンをなでながら

号泣

父のマロンが

母のマロンになり

私のマロンになった


クリスチャンなので

線香も焼香も必要ないと伝えて

最小限のセレモニーで火葬してもらい

お骨を受け取った


マロンは私と一緒に

土に撒いてもらう


リビングは

マロンの思い出ばかりで

思い出しては

涙が止めどなく溢れ


マロンのオシッコの匂いでさえ

愛おしく

夜は泣きながら

マロン愛用の

クッションを抱き締めて

寝た


朝、病院から
きれいなお花が届いた

気管虚脱の大きな手術から

ちょうど4年

いただいたおまけの4年と

感謝して

大切に一緒に時を過ごしたが

もっともっと

大事にしてあげれば良かったと

流れ落ちる涙で

後悔が止まらない


でも

きっとマロンは

長年の咳からも解放されて

すっきりと

尻尾をピンと上げて

楽しそうな方へ

スタスタ歩いていったに違いない


さようならマロン

そして

ありがとう