今シーズン3度目のスキーから帰ってきて

 

寒波で真っ白な世界から帰ると

雲一つない青空の東京

 

全身激しい筋肉痛と疲労で起きた翌朝

大阪からの電話

 

マロンが今朝から嘔吐と下痢を繰り返し

状態が良くないとのこと・・

 

東京での予定が詰まっていたので

「4年前から覚悟はできているので

何かあればよろしくお願いします」と

一旦電話を切るが

 

マロンは今、

私に一番会いたがっているに違いないと思うと

全ての予定をキャンセルして

飛行機に飛び乗った

 

帰宅してから、そのまま車で病院へ

 

マロンは

大きな目をあけて

息遣いも荒く

ぐったりしていた

 

 

 

前日までは元気にしていたが

急に嘔吐と下痢が始まったとのこと

 

吐き気止めを注射しても治まらない

 

血液検査では腎臓の値がかなり悪いが

急性膵炎を起こしているのであろう

今はお腹が痛いと思われる

 

と説明を受けた

 

連れて帰ってマロンを家で看取ろうと思ったが

膵炎に効く薬の点滴を始めたばかりなので

今の地点では

看取るのは早いと言われ

 

数日たって

薬の効果が無ければ

連れて帰って看取るということにした

 

大きな大きな目を開けて
息遣いの荒いマロンの

一番好きな腰のあたりを

泣きながらなでてやると

次第に息遣いが穏やかになり

私を感じてくれているマロンを

私も感じた

 

翌日は

10時から16時まで

絶対に外せないオンラインの勉強会

 

入室が少し遅れる連絡を入れて

病院のオープン9時前に到着するように家を出る

 

後10分で病院に到着するときに

病院から電話

「マロンちゃん、今、息が止まりました

挿管しています」

 

覚悟はしていたが

心臓が凍り付いた

 

到着するとすぐに

病院のスタッフが全員見守る中

チューブにつながれたマロンの部屋に案内され

マロンはまだ、生きていた

 

「マロン!お姉ちゃん来たよ」と抱きしめながら呼ぶと

機械のピーピーの音が跳ね上がった

 

その後

点滴をしたまま

酸素室に移され

 

ガラス越しに

「マロン、マロン」と

泣きながら

呼びかけていると

 

突然

前足で踏ん張って体を起こし

「ワンワン」と

何度も吠え始め

 

そんな元気があったの?

スタッフもびっくりして

 

のけぞったら

 

ドクターが

「今のけぞったから

息が止まったと思う」

 

と言われ

 

酸素室のドアを開けてくれた

 

マロンを抱きしめると

まだ、温かくて

ぴくぴくと何度も腕の中で動く

 

まだ、生きているのではないかと錯覚するぐらい

何度も動く

 

眼を大きく開けたまま

私の到着を待って

「さようなら」と、言って

虹の橋を渡って行った

 

マロン

16歳3ヶ月