もしも自分の余命が2ヶ月だと分かったら、あなたは何をしますか?


2003年に公開され話題になったカナダ・スペインとの合作映画、「死ぬまでにしたい10のこと」を観てみました。


"Things to do before I die"


"my life without me"


オリジナル・タイトルは私のいない、私の人生(でいいのかな)というポエティックな感じで、


ガンを宣告された2児の主婦(23)がその期間を生きる様子を淡々と映し出している映画の内容とぴったり。


子供のいる私は、きっと号泣するのかな?と予想していましたが、

この映画からは泣かせよう、という意図は一切感じられず、


ただただ丁寧に死と向き合う若いカナダ人女性の姿が印象的な作品でした。


17歳で妊娠、23歳にして2人の子持ち。夫は失業中。父親は刑務所にいて会えない。


困難な状況下においてもグチひとつ言わず淡々と生きている主人公、アン。


主人公の感情のぶれなさっぷりに、図らずして「死」というものをより身近に、リアルに感じる事になりました。


もちろん、彼女も死に直面し泣きもするし落ち込んではいるんですが、


無駄に音楽で情緒を盛り上げたり悲しみを誘ったりしていない演出なので、


映画と違ってBGM無しで色々な事が起こる本当の人生により近いというか・・・


タイトルにもなっている「死ぬまでにしたい10のことリスト」の内容も、


それを一つずつ実行していくサラ・ポーリーの演技がまたリアル過ぎて、引き込まれてしまいます。

(小さい頃から子役として活躍していたそう。なるほど!)


主人公アンの性格と環境設定によるものなのかもしれませんが、騒いだりわめいたりしない、


よく教育テレビでやっている若い子向けの海外ドラマの主人公たちのテンションとは真逆な感じです。


か細い、ただ日々を特段の情熱もなく生きてきた人の喋り方、というんでしょうか


言葉使いは激しくても、自信がないからか柔らかく、一定のトーンで


どこか人生を諦めている感じ、というんでしょうか・・・


トイレで同僚に初めて感情を吐露するシーンでぶちまけた人生への不満。


でも普段はそれに蓋をして生きている人。そんな人の喋り方を完璧に再現しています。



新米ママの日記
夜、一人で死ぬまでにしたい10のことをリスト化するアン


主演のサラ・ポーリーはその後脚本家や監督としても名を馳せていて、


彼女の監督作、「アウェイ・フロム・ハー」(妻が認知症になる。夫はそれを過去の自分への天罰だと受け取る・・・)や「テイク・ディス・ワルツ」(優しい平凡な夫がいるのに素敵なイケメンに惹かれて・・・?)なども名作の予感がするのでこれから見ていこうと思います。


映画評をさらっと見ましたが、サラ・ポーリーが人生の「リアル」を切り取り物語として丁寧に映像化するのがとても上手い監督という評判がすごい。


すこしビターで冷静、実は夢見がちで単純な男性にはない目線を持っている・・・みたいです。



新米ママの日記
ちょっとヘザーグラハムっぽいかな?と思いました


彼女は、


「“長きにわたる人間関係”というテーマにすごく惹かれています。


結婚したカップルに何が起きるのか? 誰かとの関係はずっと続くのか?何故わたしたちは人生に何かが欠けていると感じ、それを埋めてくれる誰かを探すのか?


それについて描いた映画について皆が批評して語り合ってくれていることが嬉しい。」


と、あるインタビューで答えていました。


この文章を読んで、また更にこの映画のメッセージを考えてみると、


婚活も良し、幸せな結婚も良し、離婚も、何もかも、男女の関係、出会いも。色々失敗して、学んで、より良い方向を目指して、模索して、自分にとっていちばんしっくりくる生き方を探していく。


人生は濃くて、でもあっという間なんだ。


あっという間だから、どう生きるかをじっくり考える期間も必要なんだ。


そういう気持ちにさせられました。


特に、「母」という慣れないポジションについておよそ1年経った私には、


「自我」と「母」であるという自分とのバランス・その折り合いの付け方や、


それこそ「長きに渡る人間関係」についての勉強をして、


死ぬときにどんな状態でいたいかを日々意識するようになっていたところなので、


この映画で更にその方向でのアンテナをはっていくことになりそうです。


「何故人生に何かが欠けていると感じてしまうのか?」という質問にも自分なりの答えを見つけていきたいし、


それを語り合ってみたいと思いました。


このような名作が100円で借りれるとは、いい世の中ですね。


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