マズ「クイーン・・・。」
ネオ「マーズ・・・。」

ネオ・クイーン・セレニティとセーラーマーズは
一瞬見つめあったが・・・。

ネオ・マズ「助かったわ~~~~~!」
クイーンとマーズは抱き合って喜んだ。

☆★ セレニティの罪 ☆★

地割れに飲み込まれてから、
先の見えない暗闇の中をひたすら歩き続け、
そしてたどり着いたエリュシオン。

きっと、祭司エリオスに助けを求めれば、
地上に戻ることができる。

クイーンとマーズは、もちろん、そう期待していた。

フ「ここは・・・?」
ヒ「エリュシオン?」
セーラースターファイターとセーラースターヒーラーは
目を見張った。

2人はエリュシオンに来たことはなかった。

マズ「ここは地球の聖地なの。」
マーズは2人にそう説明した。

フ「聖地・・・。」
ヒ「なんて美しい場所。」
2人はエリュシオンの美しさに感嘆した。

そのとき、2人ほどの足音がした。

ファイターとヒーラーは一瞬敵ではないかと身構えたが、
マーズに止められた。

目の前に来たのは2人の女性たち。

マズ「メナードたち・・・。」
マーズはつぶやいた。

メ「ようこそいらっしゃいました、
ネオ・クイーン・セレニティ。」
2人はひざまずき、恭しく頭を下げた。

その間に奥から銀色の髪の美少年がやってきた。

エリオスだった。

エ「ご無沙汰しております、
クイーン、セーラーマーズ。」
エリオスはひざまずき、頭を下げた。

そして、エリオスはファイターとヒーラーのほうへ
視線を向けた。

エ「そちらの戦士の方々は?」
そのことばにクイーンは微笑んだ。

ネオ「紹介するわ。
ファイター、ヒーラー、こちらはエリュシオンの守護祭司のエリオス。」
クイーンのその言葉に
エ「お初にお目にかかります。
わたしはエリオスと申します。」
エリオスは自分を紹介した。

ネオ「こちらはキンモク星の守護戦士、
黒髪のほうがセーラースターファイター、
銀髪のほうがセーラースターヒーラーよ。」
クイーンは2人のことも紹介した。

フ「初めまして、セーラースターファイターです。」
ヒ「セーラースターヒーラーです。」
2人は自分を紹介した。

マズ「セーラースターライツは本当は3人なのだけれど・・・。」
マーズはそう説明を加えた。

エリオスは一瞬微笑んだが、
クイーンを見ていった。
エ「クイーン、実はこのたびの地上の異変、
そのことについてお話したいことがあります。
先に神殿で待っていてくださいませんか?」
エリオスの様子はどこか辛そうだった。

[newpage]

メナードの1人に宿坊へ案内させ、
エリオスは再び待ち続けていた。

そして地上の時間にして30分くらいたったころだろうか。

エリュシオンに導かれたキング・エンディミオン、
そして期せずして同行することとなった
セーラーマーキュリーとセーラージュピター、
セーラースターメイカーが現れた。

キ「エリオス・・・。」
キングはエリオスに話しかけた。

エ「ご無沙汰しております、キング。」
エリオスは先ほどと同じように、
キングの前にひざまずいて、頭を下げた。

そして、メイカーの姿を認めると
先ほどと同じように
エ「お初にお目にかかります。
わたしはエリオスと申します。」
エリオスはメイカーに対して、自分を紹介した。

メ「こちらこそ、はじめてお目にかかります。
わたしはセーラースターメイカーと言います。」
メイカーも自分を紹介した。

*****

エリオスは先ほどと同じように、
メナードに4人を宿坊へ案内させ、
ふたたび待ち人を待ち続けた。

そして1時間くらいたったころだろうか、
やっとその人がやってきた。

スモールレディとセーラーヴィーナスだった。

エリオスはふっと微笑んだ。

クリスタル・トーキョー建国時から、
クイーンはすでに知っている未来のうち、
回避できるものを回避し、未来を再構築した、
と聞いていた。

ブラックムーン一族の襲撃がなくなったため、
スモールレディがセーラームーンたちに
助けを求めた事実がなくなったため、
今のスモールレディはエリオスのことを知らないのだ。

エ(わたしにとっての乙女・・・。)
エリオスは打ち明けたい衝動にかられたが、
なんとか耐え抜いた。

エ「ご無沙汰しております、セーラーヴィーナス。」
エリオスはヴィーナスに頭を下げた。

ヴ「お久しぶり、エリオス。」
ヴィーナスはそう答えた。

ス「エリオス・・・?」
スモールレディはそうつぶやいた。

その名前・・・、
なんだか大切な響きのような気がした。

[newpage]

エリオスは宿坊にヴィーナスとスモールレディを案内し、
待ち人全員がそろった。

クイーンもキングもスモールレディも、
お互いの無事を喜び合った。

もちろん、四守護神やセーラースターライツたちも。

やがて、メナードたちの案内で、
神殿へ全員がやってきた。

神殿ではエリオスがひざまずいた状態で待っていた。

キ「エリオス、話というのは・・・。」
なんとなく、不吉な予感がしていたが、
それでもキングはエリオスに話をするよう促した。

エ「キング・・・。」
エリオスの瞳は悲し気な色を含んでいた。

しかし、意を決したように、
エ「実は、今地上で起こっている異変のことを
お話ししようと思っていました。」
エリオスはそう話をし始めた。

今の地上はネオ・クイーン・セレニティの持つ『幻の銀水晶』の力で
平和が保たれ、そして不老長寿の理想郷になっている。

しかし、『幻の銀水晶』は月の王国、シルバーミレニアムの秘宝であり、
地球由来のものではない。

そのため、地球にひずみが生じているのだという。

マキ「地球にひずみ・・・。」
マーキュリーは驚いたようにつぶやいた。

自分のポケコンではそんなことを分析したこともなかったし、
クリスタル・トーキョーのホストコンピューターも
そんな答えを出したことはなかった。

エリオスはうなずいた。

エ「光があれば、闇があるのは自明の理。
しかし、『幻の銀水晶』の力により、
光のみで覆われた地球が、
人知れず、闇の力を蓄えていたのです。」
エリオスはつらそうに言った。

エ「そして、先日のあの地震。
地球が人知れず蓄えてきていた闇の力が、
あれをきっかけに噴出したのです。」
あまりのことに、全員が言葉を失った。

ネオ「そんな・・・。」
クイーンはがっくりと崩れ落ちた。

ネオ「わたしのやってきたことは、
間違っていたというの・・・?」
誰もが間違っていない、と言いたかった。

でも、だれもそういうことはできなかった。

『幻の銀水晶』の力で地球人を月人のような不老長寿に作り替えた、
それはまさしく「地球自ら」が進化していくようなチャンスを
奪う行為そのものだった。

さらに
エ「こうなったのも、元をたどればキング、クイーン、
あなた方が前世で犯した罪の報い、
先日、神殿で祈りをささげていたとき、
そういう啓示が下ったのです。」
エリオスは振り絞るような声でそう言った。

キ「前世で犯した罪。」
キングのことばにクイーンはぴくりとした。

そう、前世で自分たちは神のおきてを破った。

ネオ「地球の人間と月の人間は、通じてはならない。」

何よりも重い、神のおきてを破った。

前世でプリンス・エンディミオンとプリンセス・セレニティが犯した罪だった。