レ「今日はありがとう。」


レイの母の墓参りから火川神社へレイを送り届けてくれた星野に

レイはあらためてお礼を言った。


星野は何も言わず、笑顔で手を振った。


☆★ 墓前の誓い ☆★


大「星野、どうするつもりなんですか?」

マンションに戻った星野に大気はそういった。


星「まあ、レイの決心がついたら、レイのおやじさんに

またあいさつにいくさ。

・・・、きっと決心はつくと思うんだけどな。」

星野はそう答えた。


大「星野、勝算はあるんですか。」

大気の疑問に

星「まあな、ちょっとこっちには切り札があるから。」

星野は遠目からは紙に見えるものをポケットから取り出して、

手にもってひらひらさせながら答えた。



そしてそれから幾日かが過ぎた。


相変わらず、星野はレイの父親の事務所の手伝いをしていた。


星野は事務所のスタッフたちともうまくやっていた。


本当に働き者で助かる、スタッフの1人はそういっていた。


海堂にとってはおそらく計算外だったのだろう、

彼の苦々しい視線を星野は感じ取っていた。


そんなとき、海堂の携帯電話が鳴った。


海「どうしたんですか。」

思いがけないという感じのそんな言葉を残して

海堂は電話に応対するため、席をはずしに行った。


しばらくして海堂は戻ってきた。


星野の横に来て鋭い声でささやいた。

海「おまえの差し金か。」

星野は察しがついた。


おそらく今の電話はレイなのではないか。


その予感通り、海堂は今レイから連絡があったのだという。


そして、父親に会いたいと。


星「さてね。」

星野はそうけむに巻いた。


星「でも、レイはおやじさんと仲悪いってきいてたからな。

結構なことなんじゃないの、会いたいって?」


不敵な笑みを浮かべる星野に海堂はますます不快な表情を浮かべた。


~~~~~


火川神社でも少女たちのうわさでもちきりだった。


う「レイちゃん、おとうさんに負けないでね。」

うさぎをはじめとし、みんな口々に応援のことばをいう。


レ「ありがとう、みんな。

あたし、負けない。」

レイは凛とした口調でそう答えた。


そして、レイの父と約束した日。


白いワンピースを着たレイと正装した星野は

雨の木でレイの父が来るのをかたずをのんで待っていた。


そして、約束の時間から5分ほど遅れたが、

レイの父が海堂を伴って現れた。


レイの父はレイとその隣の星野に面食らった。


隆「どういうつもりだ?」

レイの父隆司は固い声で問いかけた。


そんなレイの父にギャルソンはとりあえず

椅子をすすめる。


レイの父が椅子にかけたところで、

星野が切り出した。


星「お願いします、レイさんと結婚させてください。

必ず幸せにします。」

星野はそう言って頭を下げた。


星「自分はアイドルなんてやってるし、

人気がなくなったら、おわりの職業で

彼女には苦労をかけるかもしれない。

でも、おれには彼女しかいないんです。

お願いします。」


そのまま頭を上げずにいった。


レ「パパ、あたしからもお願い。

あたしには彼しかいないの。

お願い、あたしたちの仲を認めてください。」

レイも頭を下げた。


隆「2人ともとりあえず、頭を上げなさい。」

そのことばに一度2人は頭を上げた。


2人とも真剣な顔つきだった。


おままごとで結婚する、と言い出したわけではないのに気が付いた。


隆「結婚生活は苦労の連続だ、わかってるか。」

なおもそう問いかける。


星「先生にとっては、こどもにみえるかもしれないけれど、

おれは彼女のためなら、どんな苦労だって耐えて見せる。」

星野は真剣にそう言った。


レイの父は事務所のスタッフの評判を思い返していた。


娘が結婚を考えているという、この少年。

アイドルなんかやっていて、さぞちやほやされているに違いない、

そう思って、事務所で苦労をさせれば音をあげるだろうと思っていた。


でも、ふたを開けたら、事務所のスタッフからは働き者だと

評判になっていた・・・。


それに、反抗的だった娘も真剣に頭を下げてきた。


この娘をここまで変えるとは・・・。


レイの父は何も言えなかった。


~~~~~


隆「ほんとうにままごとや酔狂では結婚生活は続けられん。」

レイの父はぽつりと言った。


たぶん、あと一押しで認めてもらえる、

そう感じた星野は切り札を出すことにした。


星「レイ、先生、これをみてくれ。」

星野は1枚の紙きれを取り出した。


それは1枚の写真。


幼いレイと在りし日のレイの母が写っている写真だった。


隆「これは・・・。」

レイの父は息をのんだ。


実は、この写真は星野がレイの父の事務所を手伝っているとき、

レイの父の上着のポケットからひらりと滑り落ちたものだった。


レイの父が肌身離さず持っていた写真。

それを星野は事務所のコピー機でコピーを取り、

持っていたのだった。


星「先生、先生はレイのことをちゃんと愛してるんですよね。」


レイが素直でないように、レイの父も素直でないようで、

言葉には出さないものの、

星野はそのことにレイの父の妻や娘への愛情を感じたのだった。


レイが父を許す番だ、星野はそう感じていた。


海「先生だって、レイさん、あなたのことを思ってらっしゃいます。」

傍らにいた海堂がぽつりと言った。


政治家である以上、公私混同するわけにはいかない、

そんな苦しい父の胸の内をレイは初めて知った。


レイの母、リサはそれを理解していたからこそ、

自分の病気のことを知らせないように言っていたのだ。


レイの紫色の瞳に涙があふれてきた。


レ「パパ、ごめんなさい。

パパのことも知らず。」

レイは言葉を振り絞った。


星野はくすりと笑った。

星「本当に親子そろって、素直じゃないな。」


レイの父は、娘をここまで変えた星野を

もう認めざるを得なかった。


隆「星野光くん、娘のことをよろしく頼む。」

そうはっきりといった。


星「任せてください。

必ず2人で幸せになります。」

そう力強く、宣言した。



後日、星野とレイ、そしてレイの父で

レイの母の墓参りに行くことにした。


先日と同じように、レイは白いバラを用意した。


今回は海堂に車を出してもらった。


そして前と同じように墓石を磨き、

花を手向ける。


レイは心の中で星野に感謝していた。


あの父とこんな風に一緒に墓参りができる日が来るなんて・・・。


そして改めて星野とレイは互いがかけがえのない存在だと感じていた。


これからも何があっても2人で乗り越えていく。


レイの母の墓前で星野とレイはそう誓った。


Fin


~~~~~


あとがき


父と娘、読んでいただきまして

ありがとうございました。


星野とレイという変わり種カップルが

わたしは大好き♪


そんな自分しか好きじゃないカップリングですが、

少しでもこの2人のカップリングがいいな、と

思ってくださったらうれしいです。


また機会があったら、書いてみたいふたりです。



こんにちは。Lilac(ライラック)です。

星レイです。

当初の計画ではレイの誕生日くらいにはじめて、
星野くんの誕生日くらいに終わる計画だったのですが、
いろいろのびてしまい、すみません。

でもやっと完結しました。

わたしは星レイが大好き♪。

少しでも星レイいいなと思っていただけたらうれしいです。

なお、一度投稿したのですが、
今日亜美ちゃんの誕生日なことを思い出し、
あみたん作品を投稿してから再投稿しました。
いろいろ不備で申し訳ありません。