レイの父の雑用係をすることになってしまった星野。


しばらくアイドルも休業、

そして高校も休学することに

なってしまった。


☆★ 2人の試練 ☆★


一応、海堂の下で働くことになったため、

毎日海堂はスリーライツのマンションに星野を迎えに来た。


そして永田町の議員宿舎までレイの父を迎えに行き、

その後、レイの父の事務所へ行くのだ。


当然のことだが、星野は事務所では一番の下っ端の扱いを受けていた。


事務所の備品の買い出し、

電話の応対、ほかのスタッフの手伝い等

星野はやることはいくらでもあった。


とはいえ、ほかのスタッフからすれば

レイの父の真意など知るわけでもなく、

新しいバイトの人、のような扱いだった。


なので結構親し気に話しかけてくるスタッフもいたりして

星野は最初の想像よりは居心地がいいと感じていた。


しかし、あのときのレイの父親は何か企んでいる様子だった。


油断はできない、星野はそう感じていた。



海「なんかきみもなじんできているね。」

海堂が皮肉のようなことを言ってきた。


星「おほめにあずかり、どうも。」

星野も皮肉で返す。


星野は海堂のことはまだ信用できないと考えていた。


なんといっても、数日前レイの父を迎えに行く車の中で

海「まったく、レイさんはどうしてこんな男を選んだのか。

女子校育ちだからこうなるのか。」

海堂はそうつぶやいていたのだ。


海堂はもちろん星野が気づいていないと思っているらしい。


しかし、無意識に口に出していたので、

星野には丸聞こえだった。


星野ははらわたが煮えくりかえりそうだった。


自分は何を言われてもかまわない。


しかし、レイに対して何か言うのは許せない。


海「結構、政治家の事務所の人間ぽくふるまえるもんじゃないか。」

そういう海堂に対し、

星「まあ、こう見えてもおれはアイドルだし、

ドラマにもいっぱい出てるからな。

それっぽく演じてみてるつもりなんだ。」

星野もそう切り返す。


レイもT.A.女学院にいるときと

うさぎたちの前にいるときで少し態度が違う気がする。


T.A.女学院にいるときは「政治家のお嬢様」を

必死で演じているのかな。


星野はそうレイへ思いをはせていた。


必ず、レイの父親に認めてもらう、

この雑用係を引き受けたのも

その目的のためだった。


星野はレイへ誓った。


必ず、自分の目的は達成すると。


~~~~~


あ「そう、星野くんが・・・。」

シスターアンジェラこと具志堅あかねは

チャペルを訪ねてきたレイにむかってそうつぶやいた。


あ「いよいよ、ヤコブっぽくなってきたわね。」

ため息をつきながらいった。


そう、レイはもちろんこの話は賛成できなかった。



この話を聞いたとき、

レ「やめたほうがいいんじゃないかしら。

やっぱりパパにわかってもらわなくたって・・・。」

レイはそう言ったのだが、

星「それでいいのか?

じいさんを除くとたった1人の身内じゃないのか。」

星野も自分の意見を譲らなかった。


星野は遠回しに家族なんだから大事にしろ、

といっているに等しかった。


レ「パパなんか、ママが死んでもお仕事ばかり。

だからいいのよ、

別に気にしなくて。」

レイはそう反論してみた。


それでも星野は首を振った。



そんな経緯のことをレイはあかねに話した。


あかねはかすかに笑った。

あ「火野さん、星野くんはあきらめていないのね。

大丈夫、信じましょう、星野くんを。」

優しい声でそう付け加えた。


それでもレイの心配は尽きなかった。


母リサの写真の入っているロケットペンダントを

握りしめる。


そして心の中で叫ぶ。


ママ、お願い。

あの人のことを守って。


そんなレイの様子をあかねは何も言わず、

ただ静かに見守っていた。


~~~~~


あれから何日間か経った。


いつの間にかマスコミにも

星野の姿がリークされていた。


「スリーライツ星野光、政治家への野心か?」

そんな見出しが躍っていた。


TVでも評論家たちが

立候補できる年齢になったら、政治家に転身するのではないか、

とか

過去のタレント議員のはなしなどいろいろ噂している。


レイにとっては、根も葉もないうわさを流されることなど

耐えがたいことだった。


それに星野も疲れてしまうらしく、

めったに会えなくなってしまった。


できることならそばにいて励ましたいのに、

メッセージを送ることすらためらいがあった。


うさぎたちがかわるがわる火川神社にやってきた。


でも、それが逆にうさぎ、そして亜美やまことの顔を見るたび、

レイの頭にある考えを浮かばせてしまう。



ある日星野が

星[なんとかして時間を作って会いたい。]

そうメッセージをよこしてきた。


もちろんレイだって、一目だけでも星野の姿を見たかった。


しかしそれでも星野は忙しいらしく、

なかなか会う日が決まらなかった。


そんな中である日、レイの父が電話をよこしてきた。


少しだけ星野を会わせてやろう、そんな内容だった。


いったい父にどんな目にあわされてるのか、

レイは胸が痛むのを感じていた。


そしてレイの父に指定された日。


レイの父、海堂、そして星野が

火川神社へやってきた。


星野は少しやせて顔色が悪くなっていた。


自分のせいで星野をこんな目に合わせてしまった。


レイの胸が激しく痛んだ。


星「レイ。」

前と変わらない声。


待ち焦がれていた声。


なのに・・・。


レ「ねえ、お別れしましょう、あたしたち。」

レイは星野の思いもよらない言葉を紡いだ。


星「なっ・・・。」

星野は納得できず、レイの肩をつかんだが。


レ「ねえ、あたしの使命、知ってるでしょう。

プリンセスであるうさぎを守ること。

パパと・・・、家族と縁が薄いってことは

プリンセス以上に大切な相手を作っちゃいけないってことよ。」

レイは涙をこらえながら、星野へ告げた。


星「レイ、本気で言ってるのか?

前世は前世、今は今だろ。」

星野は強く反論する。


レ「だってそうでしょう。

亜美ちゃんだって、おとうさんは離婚していないし、

おかあさんはお医者様でいそがしくて、

なかなか家に帰ってこられないって。

まこちゃんもご両親は飛行機事故で亡くなってるし、

みんなやっぱり家族運が薄いのよ。

それは、やっぱりプリンセスに忠誠を尽くすために

あたしたちに用意されていた運命なのよ。」


星「じゃあ、おまえは、何のために「火野レイ」として生まれたんだ?

セーラーマーズとしてじゃない、

「火野レイ」としての人生を生きてはいけないのか?」

星野はなお詰め寄る。


それでも、レイは断腸の思いで星野を拒んだ。

レ「お願い、もうさよならしましょう。」

レイはくるりと背を向けると

神社の石段を上がっていってしまった。


星野は涙声で叫んだ。

星「戻ってきてくれ!考え直せ!レイ!」



こんにちは。Lilac(ライラック)です。

星レイです。

またしても急展開。

本当にすみません。

本日は星野くんのお誕生日ですね!
星野くん、お誕生日おめでとう!