気分転換に外へ出たはるか。

しかし、家の外では意外な人物が待ち構えていた。

☆★ 運命のSpirit ☆★

ちょうど門を出たところに、
赤いスポーツカーとそれにもたれていた星野の姿があった。

天敵の星野の出現にはるかは無視して通り過ぎようとする。

星「おい!」
星野ははるかの腕を強引につかむと、
そのままスポーツカーの中に連れ込んだ。

は「何をするんだ!」
はるかの怒号が飛んだが、
星野はお構いなしに車を発進させた。

車が走り出してしまったので、
多少はあきらめがついたようなはるかだが、
しかし、その表情はぶぜんとしていた。

は「おまえ、どういうつもりだ。」
多少の冷静さを取り戻したはるかが聞いた。

星「まあ、気分転換ってところかな。」
星野の答えにはるかは余計なお世話だと思った。

とはいえ、モータースポーツや車の好きなはるかのこと。

興味は車のほうに移ったようだった。

は「いつもの黒い車じゃないのか。」
はるかは話を向けてみる。
星「あの車は大気の車なんだ。
これはおれの車。」
星野はそう答えた。

星野の答えに
は「あいつも車を持っているのか。」
はるかは夜天のほうに話を向けてみる。

星「夜天は車に興味がないから、
車は持ってない。」
そういった後に
星「とはいえ、みちるさんのために、
車買うような話は・・・、っとと。」
思わずはるかの地雷を踏むような発言をしてしまった。

夜天とみちるの話になってしまったため、
はるかは明らかに不機嫌になってしまった。

はるかはもう一言も口をきかなくなってしまった。

そもそも、星野とはるか自体がもともと犬猿の仲だったのだ。

はじめから話が弾むはずはなかった。

もともとせつなからはるかを連れ出して
気分転換させてほしいと頼まれていた。

大気の見解でも犬猿の仲の星野が相手なら、
怒りのエネルギーの発散で、
逆にすっきりするのではないか、
そんなことをいわれた。

そんなことからはるかを連れ出したのだが、
本当にそううまくいくか、
星野には確信がなかったが、
せつなと大気から頼まれた以上、
そうするしかなかった。

星野はひたすら車を走らせていた。

~~~~~


高速道路を乗りついで、
潮風のにおいがしてきた。

はるかは海の近くに来たことを感じ取っていた。

自分たちの住んでいる場所が海のそばなので、
どうしてわざわざ自分の家の近くではなく、
遠くの海まで来たのか、はるかには理解ができなかったが、
そんなことはどうでもよかった。

ただ、星野の意図を図りかねていた。

やがて星野は車を止めた。

そして、車を降りた星野は海岸のほうへ歩き始めた。

はるかは黙ってついていった。

海岸へ着いたとき、星野が
星「あんた、まだかっこつけてるわけ?」
おもむろにそう聞いた。

は「どういう意味だ?」
はるかがぶぜんとした調子で聞いた。

星「みちるさんを夜天にとられて悔しいんじゃないのか?
あんたはみちるさんが幸せになれば、みたいな殊勝なこと言ってるけど、
本当は心の奥ではとても悔しいんじゃないのか?」
星野ははるかに対してそう問いかけた。

星野の言葉は的を射ていた。

はるかは確かにくやしさを抱えていた。

そして自分のプライドから
それを自分自身にも隠していたことを
思い知らされた。

星野にそれを見透かされたのも悔しかった。

しかし、
は「ああ、悔しいさ。
大切なみちるを奪われたんだ。
あんな女みたいな顔のやつに。」
はるかはそう答えた。

顔はかんけーないだろ
星野は内心そう思っていたが、
それは言わずにおいた。

星「悔しいんなら、悔しいって言っちまえよ。
ここならあんたの知り合いは誰もいないだろ。
思いっきり言っちまえよ。」

星野がこんな遠くの海まで連れてきたのはそれが理由だっのだ。

それを悟ったはるかは
は「悔しいさ!悔しいさ!」
あとからあとからそう叫んだ。

はるかは声がかれるまで、
そして涙が出るまで、
叫び続けた。


~~~~~

いつの間にか夕方になっていた。

帰りも星野がはるかを乗せて高速道路を走っていた。

その時、とあるベイエリアの観覧車が星野の目に入った。

星野は急遽最寄りのインターチェンジで降りた。

そして渋るはるかを無理やりその遊園地の観覧車へと連れてきた。

観覧車の中では2人とも無言だった。

はるかは観覧車から見える風景をただ眺めていた。

そして星野はそんなはるかを見つめていた。

星野がはるかをここへ連れてきた意図は今度こそわからなかった。

ただ、観覧車から見える風景を見ていると、
自分の悩みがちっぽけなものに思えてくる気がした。


外部戦士たちの家についてはるかは車を降りた。

はるかは
は「今日はすっきりした。
感謝する。」

はるかは最初は文句も多かったこの1日が
意外に楽しかったことに気が付いた。

素直な物言いのしそうにないはるかの素直な物言いに、
星野は少し面食らったが、
星「すっきりしたんならいいや。
また何かあればストレス解消を兼ねて連れ出してやるよ。」
そういった。

はるかは
は「またはないさ。」
憎まれ口で返す。

そんなはるかの様子に
きっとほどなくして立ち直る、
星野はそんな気がしていた。


家の中に戻ったはるか。
せ「おかえりなさい、はるか。」
せつなが答えた。

は「せつな、今日のことはきみの差し金じゃないのか。」
はるかにはお見通しだった。

せ「はるか、今日のことは・・・。」
せつなの答えに、はるかはふっと笑った。
は「あいつにあと何回かサンドバッグ代わりになってもらえば、
ぼくもすっきりするかもな。」

そう思うほど、はるかはこの1日が楽しかったことに気が付いた。

あいつのことだから、そんなことは覚悟の上に違いない、
はるかはそう確信していた。

Fin


~~~~~


pixivにて、先行掲載しています。


今回のストーリー 


以下、pixiv掲載時のキャプションより転載
(原文のまま)

こんにちは。Lilac(ライラック)です。

運命のSoulシリーズの
はるかさん救済ストーリーです。

相変わらず大したことのない話ですみません。

受け入れられない場合はそっとバックしてください。