レ「星野のばか!」
火川神社でレイの怒声が響いた。

☆★ カサブランカの花 ☆★

星「参ったなあ・・・。」
星野は街を歩きながら、つぶやいていた。

星野はもちろん芸能人をやっているわけだから、
レイに我慢を強いることも多い。

それに対しては素直に悪いと思っている。

それにしても、うかつだった。

売名目的の女優とのツーショット写真が撮られ、
さらに雑誌に掲載される騒ぎになるとは・・・。

世間的には星野とレイは婚約者として通っているわけだから、
マスコミが「浮気か」とか、「婚約解消か」とか、
根も葉もないうわさを流しているのを
笑い飛ばしてくれるものと思っていた。

まさか、あそこまで傷ついていたなんて、
星野も思いもよらなかった。

だからこそ、彼女とは何でもない、という星野の言葉を
単なる言い訳としか思わなかったのだろう。

そういえば、明日はレイの誕生日だ。

レイは許してくれるだろうか。

*****

一方、レイ。

あの雑誌の記事に対して、一方的に怒ってしまい、
自己嫌悪に陥っていた。

怒りのあまり、自分の感情がコントロールできず、
星野の言葉を単なる言い訳と受け止めてしまい、
真摯に聞こうとしなかった。

レ「星野・・・。ごめんね。」

明日は自分の誕生日。

星野は許してくれるだろうか。

*****

星野は花屋のショウウインドウに目が行った。

白いカサブランカの花。

レイが好きだと言っていた花だった。

星野は、花屋の店員のセンスで、
カサブランカの花束を作ってもらった。

ダメでもともとだ。

思い切って、レイにぶつかってみよう。

*****

レイに星野からメールが来た。

星[日付が変わるころに境内の石段を下りてきてくれ。
話がある。]

レイはそのメールを見た途端、
星野も同じような気持ちだったのだと、わかった。

レ[待ってる。会いたい。]

ただ一言、そう返信した。

そのまま、レイは夜になるのをひたすら待った。

*****

夜も更けてきた。

レイは待ち遠しくて、石段を下りてきた。

星野も早めに来ていたらしく、もうそこにいた。

レ「上に行きましょう。」

そのまま2人で連れ立って、石段を上った。

母屋の縁側に2人で座った。

星・レ「あの・・・。」

2人の言葉が重なった。

星「ごめん、軽率な行動をして、
あんなに傷つけちまった。
許してほしい。」

星野の言葉に、
レ「あたしこそ、ごめんなさい。
芸能人って自分の名前を売りたいだけの人とかいっぱいいるのに、
それなのに、星野の話も聞かずに怒って、ごめんなさい。」
レイもそう答えた。

レ「あたしのこと、嫌わないでくれる?」
星「大丈夫だよ。」
星野はそう答えると、花束を差し出した。
星「誕生日、おめでとう。」

レイの好きな白いカサブランカの花。

レイは泣きそうになった。

あんなに怒ったのに、ちゃんと誕生日のために
花束を用意してくれた。

レ「ありがとう。
こんなに、頭に血が上っちゃうあたしだけど、
あきれないでいてくれる?」
星「もちろん。」

そして2人は唇を重ねた。

誕生日当日の甘いキス。

カサブランカの花束より、ずっとうれしいプレゼントだった。


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pixivにて、先行掲載しています。


 


以下、pixiv掲載時のキャプションより転載
(原文のまま)

こんにちは。Lilac(ライラック)です。

レイちゃんのお誕生日小説として、
お誕生日当日にUPした作品ですが、
手違いで削除してしまい、再度UPします。

読んでくださった皆様、すみませんでした。
改めまして、レイちゃん、お誕生日おめでとう。

設定はこちらの作品が前提です。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13888262