七、ほんとうのさいわいをさがしに 1
夜、雨音が窓ガラスを叩く音を聞きながら、僕は自室のベッドで横になっていた。
寝るには早すぎ、かと言って勉強をする気にもなれず、なにをするわけでもなくただぼぅっとしていた。
明日、七星に告白しよう。
そう決めていた。
それを思うだけで、今日の安眠は期待できなかった。
「あ、そうだ」
七星で思い出した。
そう言えば彼女から『銀河鉄道の夜』を返されていたんだっけ。
僕は上半身を起こすと、鞄から本を取り出した。
「あれ?」
僕は急いで『銀河鉄道の夜』を引き寄せた。
「新しい……」
七星から手渡された本は綺麗だった。
でも、そんなはずはないんだ。
だって僕が貸した『銀河鉄道の夜』は僕が小学生の頃に母から譲られたもので、表紙は擦り切れていて、ページも手垢で黄ばんでいた。
〔つづく〕
登場人物
水無瀬弘海 主人公(みなせひろみ)
高群 七星 主人公と同じ部活の後輩
鈴木 彰 ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人
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編集掲載・緋鷹由理