闇の中 8
正直僕は彰の筋トレ好きを少し甘く見ていたらしい。
「俺は筋肉を愛することに一切の後悔はねぇ。
でもよ、ヒロ。お前はどうだ?
高群さんを好きになったことを後悔してるのか?」
「それは……」
後悔、なのだろうか。
たぶん、後悔だ。
「遅すぎたんだ。
終わってしまった後で気づくなんて、僕はなんて鈍感だったんだろう。
もっと早くに気づいていればよかったのかもしれない」
不甲斐なかった。
これじゃ七星の傍にいる資格なんてない。
「俺、バカだからさ、ヒロの悩みは全部わかってやれねぇ、だけどさ」
彰はストローを使わず豪快にコーラを飲み干してから言った。
「お前らはそもそもはじまってないだろ」
「え?」
はじまってない?
どういうこと?
「お前らが終わったのは恋人ごっこだろ?
でもさ、お前らって本当に付き合ってたわけじゃないんだから、恋人としてははじまってすらないじゃねぇか。
だったら遅いもなにもねぇよ。
高群さんと過ごしていて好きになったなら、告白すればいいんじゃないのか?
告白してようやくスタートラインに立ったって言えるんじゃねぇか?」
「……」
〔つづく〕
登場人物
水無瀬弘海 主人公(みなせひろみ)
高群 七星 主人公と同じ部活の後輩
鈴木 彰 ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人
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編集掲載・緋鷹由理