夢のさめ方 2
「警戒しなくても結構です。私は香の味方ですから」
「い、いや……そういう意味じゃなくて……質問って何?」
「そうですね。とりあえず、確認をしますが、私の名前をご存知ですか?」
「えっ……?」
二年間、共にいるクラスメート。
それも眼鏡の委員長と言えば、一学期の初めからさまざまな面で目立っている人物です。
それにもかかわらず、どうして僕の頭に思い浮かびませんでした。
すると、彼女は眼鏡を曇らせました。
「ふむ。知らないのですね」
「ち、ちょっと待って!
ど忘れしただけ……そ、そうだ。クラッシュ!
クラッシュルフォールでしょ?」
「どちら様でしょうか?
そんな外国の方は知りませんね?
もしかして私が―――」
「だから眼鏡は関係ないって言っているでしょ!」
僕はあらかじめ釘を差すように叫びます。
しかし、彼女は言葉を躊躇って、もう一度口にしました。
「私が―――香の記憶に留まってはいけない存在だからなのでしょうか?」
「えっ……?」
不意に、少女の瞳の奥に悲しい何かが見えます。
それと同時に、僕は焦ってしまいました。
「そ、そんなことはないよ!
確かに名前を覚えていないのは謝る。
けど、それは僕が―――僕が、病気だから、仕方ないよ」
初めて、自分の病状を申告することが辛く感じられます。
彼女を騙し続けていたような気がして、うつむきました。
「ごめん」
それだけ言うと、他には何もいえません。
しかし、眼鏡の委員長は、僕のとなりに近くのいすを引き寄せ、座りました。
「香。実は私も……あなたの名前を呼ぶことに違和感があります」
「違和感……?」
僕は伏せたまま、隣に座る少女に訊ねます。
すると、彼女は身体を横に向け、僕に背を向けました。
「これまで、数々の非礼を詫びると言えば簡単ですが、どうしてか、香だけは私にとって特別です」
「……うん」
「それに、私は香を助けるために存在しているような気がしてなりません」
「……うん? どういう意味だ」
思わず、訊ねてしまいます。
頭を上げて、少女の背中を見ると、束ねられた長髪が女性らしさを強調させていました。
〔つづく〕
登場人物
草薙 香 主人公 健忘症が病的な高等部二年
宮司 破魔 眼鏡の学級委員長
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