蒼紺のベール 第六章 怒り(31ページ) | 緋鷹由理 

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たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。



奈津美の異変 2

 その頃、宗の家では、麗美がいなくなったので、奈津美は出かける用意をしていた。

パチンコに行くのである。念入りに化粧を始めると、玄関で物音がした。

麗美が帰ってきたのかと思い「麗美!」と呼んだが返事がない。

 気のせいかと思っていると、人の気配がする。化粧をしている鏡の中を誰かが通った。

 慌ててふりかえったが誰もいない。厚化粧を終わらせると、着替えに取り掛かり、等身大の鏡の前で細かいところを、直しているとまた鏡の中を何かが横切った。気になった奈津美は影の動いた隣の部屋へ、行ってみた。

誰もいない。ダイニングから床の間に動く人影が見えた。奈津美は急いで床の間に飛び込んだが、やはり誰もいなかった。ふと、振り返ると、玄関につづくローカを人が通った。

そして、奈津美の目に映った人影は、美夕だった。

 奈津美は玄関に行くことが出来ず、床の間で、立ち尽くしていた。

 しばらくして、麗美がやってきた。

「忘れ物しちゃった」

と言うと、キッチンからケーキ作りの道具を一つ持ってきた。

「麗美、さっき来なかった。」

「うん、来たよ。声かけたけど、奈っちゃん返事しなかったから。そのまま帰った。」

「そう・・・」 

 奈津美は整理しきれない頭を、とりあえず、麗美のせいにして、出かけていった。

その頃、美夕は、子供達のケーキ作りを見ながら、楽しく過ごしていた。

 その日の夜は、奈津美もクリスマスイブを楽しむため、宗と出かけた。

 楽しい夜だった。家に着くと程よく、アルコールが回っていて、心地よかった。

 二人は着替えると、布団に入った。

 明かりを消すと、また、青いベールが現れた。奈津美は酔いが、いっぺんに覚めるほど驚いて、

「いやー」

と小声で叫んだ。

 宗が

「どうしたの」

と訊ねると、奈津美は天井を指差した。

「天井がどうかしたの」

と言うと、奈津美は

「なんでもない」

と答え、布団を頭からかぶった。

 なぜ宗には見えないのだろう。なぜ、あたしだけ見えてしまうのだろう。奈津美は急に孤独になった。

登場人物

 高原 美夕(みゆう)     母親、病死して幽霊になる

 高原 翔(しょう)       長男、中学1年

 高原 麗美(れみ)   長女、小学6年   

 高原 由宇(ゆう)      次男、小学2年

 高原 亜姫(あき)     二女、幼稚園5歳

 高原 礼(れい)       祖父、(有)たかはらの社長

 高原 ユミエ        祖母、

 高原奈津美(なつみ)    後妻

 高原 宗(そう)      父親、(有)たかはらの専務

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草薙香  グランディオ・学園祭

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私の父 草薙香のお爺さん

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