美羽「……ぇ、わっ」

 

 背中に違和感を覚えたかと思えば、体が宙に浮いていた。

 

美羽「は、ね……?」

 

 後ろを向くと____私の体には、羽が生えていた。

 

美羽「なるほどね……」

 

 美しい羽で美羽だから、羽ってことか。

 

 地面を蹴るように空中で足を動かすと、自由に空を飛べるようになった。ターンもできる。

 

「「いたぞ!!」」

 

 敵から見つけてくれるなんて……好都合じゃん。

 

美羽「やってやりますか……」

 

 地上戦はダメだったけど、空中戦ならできるかもしれない。

 

美羽「ウィンディ!!」


 まずは基本魔法で攻撃をする。

 

____ビュン!

____ゴオォォォォ……

 

 さっきまで麗奈と戦っていたよりも、手応えを感じる。

 

 実際に上から敵を見下ろしているからこそ、今の戦局が分かりやすくなった。

 

 まだまだ不利なことに変わりはないけれど、これに関しては私の方が有利だ。

 

美羽「ウォーティー!!」

 

 このまま、上手くいけばきっと……

 

____ザッ!

 

美羽「ッ!……あぶな」

 

 敵の一撃が、私の羽に当たりそうになった。

 

 魔法だから私の体に直接ダメージはないとはいえ、もし当たったら私やばくない?

 

 空中にいるということは、隠れられないということ。

 

 だから確かに、今の体で大きいままじゃ、いつか攻撃が当たってしまうかもしれない。

 

美羽「……そうだ」

 

____ユニット魔法。

 

 キラキッズのユニット魔法なら、魔力も変わらずに小さくなれる。

 

 キラキッズの三人は今いないけど、きっと____

 

美羽「キラキッズ!!」

 

 ユニット名をそのまま呪文にしたせいで、子供らしい名前に少し笑えてしまう。

 

 でも今は、そのおかげで微笑む余裕が生まれたのだから、私にとっては好都合だ。

 

 もしかしたら、増本さんはこんな状況でも笑えるようにと、あえてつけた名前なのかもしれない。なんて思ったり。

 

美羽「ファイアリィ!!」

 

 さて、そろそろ決着をつけきゃいけない。

 

____ビュン!

 

 いきなり敵の鋭い攻撃が始まった。

 

美羽「シールド!!」

 

 空中で不安定ながらも、私は何とかシールドで自分の身を守る。

 

 でもきっと、二度も三度もないだろう。私がいつまで運よく自分の身を守れるかなんて分からないから。

 

 それに、敵も決着をつけようと本気を出してきている。

 

 私も何か、本気を出さなきゃ____終わる。

 

 このままでは互角すぎて、いつどちらが負けるかもわからない。

 

 一刻も早く三人を治療しなきゃいけないし、私だってどうなるか分からない。

 

 増本さんみたいに大きな爆発に巻き込まれて、魔力を使い切ってしまうかもしれないし、またさらに応援を呼ばれたら終わりだ。

 

 どうにかして、私が勝つには____私が櫻坂を守るためには____

 

 ただ飛んでいるんじゃなくて、攻撃できなきゃいけない。

 

 いくら特攻魔法を使ってるとはいえ、基本魔法だけで攻撃していれば意味はない。

 

 特攻魔法を使って、何か攻撃できるようにしなきゃ____