もらい泣く | からふるテュール

からふるテュール

北欧神話の神様“テュール”は英語の火曜日tuesdayの語源
そんな火曜を中心に活動する
ゆららのパステル作品と
パステルで彩った“からふる”な日常です。
好きをいっぱい詰め込んで♡

もうちょっとすれば10年・・・ぐらいのお付き合いになるのかな
自閉症の和馬君とは。





“うちの子ちょっと手がかかると思うんですけれど
            こちらでやってもらえますか?”



不安げに何度も何度もそうおっしゃりながら
お母さんが連れてきてくださった和馬君は
お母さんのおっしゃるとおりとても個性が強く

取るに足らないような小さな事柄の一つ一つを
大きなハードルとしているような子でした。

和馬君とお母さん そして私。

髪を切る という作業においての
3人4脚での小さな歩みも そう
もう十年を数えるほどの長い年月なんです。



そして今日やっと なんとなくではありますが

刃物を使って の
お顔そりができました。

鋭い刃物を顔に当てる作業

空気を読むように
そろそろと始まったそのハードル越えが


完璧とは言わないまでも
一定の形をとって

初めてできたのです。

和馬くんに
たくさんの声かけをしながら
そして励ましながら

この頃ちょっと濃くなってきたヒゲが剃り落とされ
スッキリと綺麗になってきた彼の顔を
鏡越しにふと見ると

背後で同じく鏡をのぞき込んでいるお母さんが見えました。


大きな目は真っ赤
今にもこぼれそうなほど涙を貯めていました。

驚いて振り返った私に向かって
“みなさんにお世話になって できるようになったね
 本当にありがとうございました。
 かずちゃん!お母さん感動しちゃった・・” 

そう言いながら真っ赤な目を拭うのでした。


思わずもらい泣き。
わたしもこぼれそうになる涙をぐっとこらえながら

今日のカットを終えたのでした。







今私が抱えている思いは
言葉として書き付けるのが

どうも上手くいきません。



ただ・・・ とっても

胸がキュンとして 
温かいです

思い返しては 
頬がゆるみます。


人と人とが交わりながら
巻き起こることは様々だけれども

そんないろんな過程を

共に
怒ったり 泣いたり 笑ったり 

その時々の「懸命」を人らしく生きていくことの先に

忘れられない実りが
もたらされるんだな・・って

ちょっと感動しています。



きっとこの日を忘れないと そう思っています。




ペタしてね




和馬くん
上手にできたね