小説「新・人間革命」〉 勝ち鬨 三十四 2018年1月18日



 法悟空 内田健一郎 画 (6275)

 山本伸一は、九日夜、大分平和会館で行われた、同会館の落成三周年を記念する県幹部会に出席した。宗門事件という試練に打ち勝った新しい出発の集いは、「人間革命の歌」の大合唱で幕を開けた。この歌こそ、学会精神を鼓舞してきた魂の歌であった。
  
 〽君も立て 我も立つ
  広布の天地に 一人立て……
  
 席上、伸一の提案を受けて、明一九八二年(昭和五十七年)五月を「大分月間」とするとともに、5・3「創価学会の日」と5・20「大分の日」を記念し、五月に三万人の文化祭を開催することが発表されると、ひときわ大きな拍手が響いた。
 また、五項目からなる「大分宣言」が採択された。
 そこには、「末法の御本仏たる日蓮大聖人の御遺命のままに立ち、『和楽の大分』の旗を掲げて破邪顕正の法戦に団結して前進する」ことが謳われていた。
 さらに、「広布実践の最高指導者と共に、苦楽を分かち合いながらの一生」を誇りとして正法興隆に尽くし、地涌の同志として、互いに讃え、守り合っていくなどの決意が表明されていた。
 それは、前日、「もう一回、広布の大闘争を開始します。本当の創価学会を創ります。皆さんも、私と一緒に戦いましょう!」と呼びかけた伸一への、共戦の誓いであった。
 宣言への賛同の大拍手が沸き起こった。
 広布の師弟を分断しようと、悪侶が跋扈した苦闘の時代を勝ち越え、今、声を大にして師弟共戦を叫び、大分の勝利を宣言できる喜びが、皆の心に満ちあふれていた。
 誰もが、“新しい時代が到来した!”との実感を深くした。
 そして、“青年を先頭に、信心からほとばしる歓喜と躍動で、民衆凱歌の文化祭を成功させ、平和の連帯の拡大へスタートしよう”との、希望に燃えていたのである。


聖教新聞より転載