大道  四十八



午後一時、創価女子会館の広間は、東北(とうほく)の女子部員の晴れやかな笑顔で埋まっていた。

女子部長の藤谷幸栄(ふじやさちえ)の導師(どうし)で勤行が始まった。

白馬(はくば)が天空(てんくう)を駆けるような、軽快で、はつらつとした読経(どきょう)・唱題(しょうだい)の声が響いた。

勤行が終わるや、女子部長が語り始めた。

「皆さん! 大変に嬉しいお知らせがあります。

ただ今、山本先生が『東北の歌』を作ってくださっております!」

伸一(しんいち)の伝言が発表されると、拍手が轟いた。

勤行会は、このあと、東北各県の代表による活動報告が始まった。

しばらくすると、清書(せいしょ)された歌詞の入った封筒が届けられた。

女子部長が、喜々(きき)として言った。

「今、山本先生が、『東北の歌』の一番の歌詞を作ってくださいました。ここで発表させていただきます!」



再び、拍手が湧き起こった。

「歌のタイトルは、『青葉(あおば)の誓(ちか)い』です」

またまた大拍手に包まれた。

東北の青年たちは、かつて、あの青葉城址(じょうし)で、恩師(おんし)・戸田城聖(とだじょうせい)の伸一への話を聴きながら、〝自(みずか)らが人材に育つとともに、数多(あまた)の人材を育て、東北に難攻不落(なんこうふらく)の人材城を必ずつくろう〟と、誓い合ってきた。

当時の青年たちは、皆、壮年となり、婦人となっていた。

しかし、〝人材の城をつくろう〟との誓いは、青年から青年へと受け継がれ、東北の伝統精神となってきた。

それだけに、「青葉の誓い」というタイトルを聞いただけで、誰もが大きな喜びを覚えたのだ。

次の世代を偉大な後継者にするために残すべき財産について、近代中国(ちゅうごく)の女性指導者・宋慶齢(そうけいれい)は、こう述べている。

「物質的財産のみでなく、もっとも大切なのは、われわれの伝統的な革命精神です」(注)と。

「青葉の誓い」の歌詞が読み上げられた。

「一、青葉の森に 誓いたる

   我等の誇り 忘れまじ

   いかに護らん 果たさなん

   同志(どうし)の城に 月冴えて

   ああ東北の 功徳(くどく)の山々よ」




(注)「子どもを教育する責任を担いましょう」(『宋慶齢選集』所収)仁木ふみ子訳、ドメス出版



    =2015年4月7日・聖教新聞より転載=