「でもね、別にたいしたこと無いって先生が・・・」
続きはもちろん
聞いてはもらえなかった。
私も手早く片づけを済ませて
部屋にもどったら
ケイちゃんがまたベッドで泣いていた。
はああああ、最悪。
でも聞けば、ケイちゃんは自分で喋ったそうだ。
ユウが
「お母さんは何も教えてくれなかった
何があったのか自分で言え!
じゃないと俺はこの家を出て行く」
ってまた脅して白状させたらしい。
ユウはこう言った。
「ケイに聞いた。ケイはわざとしたんじゃないって言った。
だから俺はその一言で全てわかったんだ。
お前は違う、ケイのことを一番に、ケイの気持ちなんて
これっぽっちも考えてないだろうが!
やっぱりお前とは無理だわ」
???????
なんで矛先が私な訳??
ってか
その後の、一時間泣き続けて
先生やお友達にもあっち行けって言った態度は??
私の話を聞きもしないで
我が子の自己保身のみの一言で
全てがわかるんだ
すごいねーーさすが血の繋がり。
私はあきれ返った。
けれど、それは口にはしなかった。
なのに執拗に私を責めるユウ。
「おいで、ぎゅうしてあげる、お前はいい子だからな~」
とケイちゃんを抱きしめながら・・・だ。
たらたらと私には説教。
あまりにもしつこいから
私もカチンと・・・・きた。
「私だったら、まず一番に
相手の子の怪我はどうだったのかって思うよ。
事と次第によっては向こうのお宅に謝りに行かないといけない。
貴方はそういうことはカケラも思わないのね?
貴方と私の感性の違いだわね。
もちろんケイちゃんに理由をきちんと聞いて
今回はケイちゃんに非はなかったし
わざとじゃないって私もわかったから
そのことについては一言も責めてない。
でもその後が問題なの!
お友達に対しての態度とか!」
そしてケイちゃんには
「明日、慰めてくれたお友達と先生に
きちんとお礼を言いなさい」
と言った。
ここまで言っても
ユウは私が悪いと言う。
そんなことをケイの目の前で言う
お前の神経はどうかしている・・・と。
結局
ユウはケイちゃんと
「おいで、おとうさんと一緒に寝よう
お前はいい子だ、美人だ、優しい子だなぁ~」
と
褒めちぎりながら。
撫で回しながら。
そうやって
ケイちゃんの心は
育成されていくのよね
貴方の一番の信者として。
私は過去を振り返ってた。
まだ実子が幼い頃・・・
1人でも多くのお友達を持って欲しいと
私は自宅を開放して
ホームパーティーを企画したり
クリスマス会もお誕生日会も
クッキング教室も・・・
いろいろしていた。
ママ友もたくさん増えた。
だからその頃のママ友もいまでも仲良し。
親子ぐるみでずっと交流がある。
もう10年もたつのに。
でも・・・
今は?
ケイちゃんのお友達を
家に呼んだこともない。
もちろんここは私の自宅ではないから
・・・
そんなことを理由に
私は実子と同じようにしているつもりでもしていなかった。
確かに。
ユウの言う「ケイの気持ちを一番に」は
私は出来ていなかった。
それは反省している。
でも
もし実子であったとしても
怪我をさせたのなら
相手の様子・・・が気になるはずだ。
ユウにはそこが欠落している。
自分がよければいい・・・のだ。
そういう子供に、ケイちゃんをさせたいの?
ユウはいつも「ケイちゃんが仲間はずれにされてないか?
お友達がいるか?嫌われてないか?」って気にしているよね?
お友達・・は
「相手」があってはじめて成立する関係なのだよ。
ひとりよがりでは・・・無理なんだよ。
そんなふうにぼーっと考えていたら
ユウが私の布団に来た。
もちろん
ケイちゃんが寝たからで
ネットサーフィンをしたかったからで。
私たちはまた
同じお布団で毛布に包まって
一緒に寝転んでネットをした。
面白い動画や記事を
「ゆらこ、ほら、これ!」
って二人で笑いながら見た。
気がつくと私は眠っていたようだ。
朝、目覚めると
私の横にはまだユウがいて
平和ないびきをかいてた。
何事も無かったかのように。
だから・・・
プラマイゼロ。
ユウなりの「ごめん」だったのかもしれない。
朝、出かける時に
ユウは私にこういった。
「なあ、ケイは友達がいるとおもうか?」
「大丈夫だよ」
私はそう返事をした。
確信は・・・ないけれど。