結局船のメンテナンスはせず

私たちはそのまま海に出た。


最初、ケイちゃんが

「オシッコいきたい」と言って

マリーナのスタッフのところにいた私の元にやってきた。

だからトイレに連れて行った。

途中で船にいるユウから電話。

「何している?」と。


「今、向ってます」

私たちは走って船まで行って・・・

付いた途端。


ユウは思いっきりケイちゃんの頬を張った!!


どうやら、

手続きを終えて船に帰ってくる私を

船の中で二人で待っていた時

ケイちゃんがオシッコ・・・と言ったので

船でしろ(船の中にもトイレがあるので)と言ったのに

聞かずにマリーナの事務所のトイレに行ったことが

気に入らなかったらしい。



そんな理由で??


ケイちゃんの鼻から軽く鼻血が出ていた。

それでもユウはおかまいなしだ。


途端に船内はピリピリした空気になった。



私は・・・

もちろん、理不尽だ、こんな小さい子に・・・

大体、叩かれるようなことなの?

ほんの数分、出港が遅れただけじゃない

しかも可愛いあなたの実娘でしょうに?


・・・と

心の中で叫んでいたけど

結局一言も言えなかった。


それは

実の親じゃないから?

それとも

ユウの言うことをきかなかったケイちゃんが悪いから?

それとも

ここで下手にかばうと私にまでとばっちりがくるから?


今でもよくわからない。

でも

ユウは間違っている、絶対。


それだけは解っていた。


そして

そんなふうにされても泣かないケイちゃんが

不思議であり哀れだった。


私はただ

ケイちゃんの小さな手を

ずっと握ってあげることしかできなかった。