仲間の中にいた息子……
息子が旅立ってから、お店へ足を運びました。
そこで初めて、私の知らない息子の姿を聞きました。
お店を活気づけていたこと。
若いスタッフさんにきちんと向き合っていたこと。
シフトも、みんなが無理をしないように組んでくれていたこと。
「息子がこれがいいと言うと、ちゃんと売れたんですよ」
そう聞いたとき、胸がいっぱいになりました。
思えば私は、
息子が働くすべてのお店に足を運んできました。
授業参観のように
アルバイトで入ったお店も、
異動したお店も、
再就職したお店も。
行くたびに服を選び、
「これどう?」と息子に見てもらい
ジーンズの裾上げもお願いしました。
主人も毎回一緒に行き、
必ず息子に見てもらってから購入していました。
息子が倒れる1か月前に
私の誕生日が近い日に、主人と二人でお店へ行きました。
娘は社会復帰して休みが合わず来られませんでしたが、
いつものように服を見て、息子を探して
「いらっしゃいませーー」
大きな声で、元気に。
たくさん試着された服を素早く畳みながら、
誇らしく仕事をしていました。
その姿を見ながら服を選び、試着室へ
「これどう?」と聞くと、
「いいんじゃない!」
だけど、そのパンツは思ったより高くて悩んでいると
「誕プレで買ってやるよ!!」
そう言って、買ってくれました
最高の誕生日プレゼントでした
あの日息子のお店で買った服や、
他の息子のお店で買った服は、
今はすべて宝物のようです。
それが最後になるなんて、思いもしませんでした。
息子が倒れた翌日から
私はその服を着て、毎日病院へ通いました。
救急病院のICUへ
息子が旅立ってから
主人は悲しくて辛くて、お店には行けないと言いました。
亡くなってからお店に伺ったのは、
息子の荷物を取りに行くためでした。
その日は、私一人では心細く、
娘が一緒に来てくれました。
そこで、息子と一緒にお店を切り盛りしていた女性スタッフさんから
たくさんのお話を聞きました。
お店で飲み会を開いて、
みんなでよく集まっていたこと。
そして、これからお店を任されるにあたって
決起大会をしたこと。
その女性スタッフさんが、
その時に行ったお店に連れて行ってくれました。
席に案内されると、
偶然にも、息子が決起大会をした席でした。
ああ、息子が仕組んだのかな
息子も一緒にいるのかな
そんな感覚になりました。
息子が好きだったシャンディーガフを、注文しました。
そのとき、改めて聞きました。
若いスタッフさんをまとめるために、
息子はたくさん本を読み、
メモを取り、学んでいたこと。
遺品のバッグの中から、
びっしり書き込まれたメモや本が出てきました。
家では何も言わなかったけれど、
ちゃんと考えて、ちゃんと悩んで、
ちゃんと頑張っていた。
女性スタッフさんも涙を流しながら、
「今も一緒に働いている感覚があるんです」と言ってくれました。
私は、お店の皆さんに
今までのお礼と、倒れてご迷惑をかけたことをお伝えしました。
女性スタッフさんが教えてくれました。
倒れる前日も、
駅の外で軽く飲んで「お疲れ」と話していたこと。
まさか翌日に倒れるなんて、と
辛そうな顔で話してくださいました。
その姿を見て、 息子は本当に大切にされていたんだと、
改めて思いました。
仲間の中で、 息子はちゃんと生きていました。


シャンディーガフ