言い聞かせてきた



大丈夫


思春期はおわるんだ


今だけ


反抗は正常な成長



頭では

それはわかっているのだけど



毎日


帰宅時間がどんどん遅くなり


買い食いが増え


宿題、提出課題はやらず


脱ぎ捨て、ポイ捨て、散らかしっぱなし

のマナー違反にルール違反…


思い通りいかないと暴言

ものにあたる




思春期との生活は…




いつ不機嫌の嵐がくるのか


どんなきっかけで落雷があるかわからない





波が激しくて、

船は何度も大波に打たれていた





親も子も

ホルモンバランスの乱れる時期にさしかかり

お互いにイライラを抱えて

投げ合う言葉は

どんどん鋭くなっていた




今までにない

時化の日が続いていた…



自分が言っているのが

子供のためなのか

自分のためなのか

わからなくなって

情けなかった


しばしば

鋭くきりかえされては


苦しくて


何でここまでくしゃくしゃに

ならなきゃいけないんだ!

家をでて

車で子供みたいに泣いた





そんな…

一番寒い季節をやっと終えて




春が来て


暖かな日差しに気がついた時には




親はいつになくカラカラに…



しかし

子供たちは

なにか磨かれたように

ピカピカになっていた




嵐を乗り越えた、その後が違う…



余分なものがおち

本来の輝きがます10代…



必要なものが失われて

傷跡がふかく刻みこまれた40代…




背が伸びて

力を増して

チャレンジをかさね


少しずつ

出来ることをふやしていく子供たちが



日の光の下、きらっと輝く



それが


まぶしくて


何とも綺麗で


そしてとても嬉しくて誇らしい…のに


どこか少し淋しいのは


親として

してあげられることが

ひとつ、ふたつと

減っているからなんだろう





昨朝…日曜日

友人と、初めての都内周遊に心躍らせる息子を

駅まで送った


車を降りて

駆け出していく

後ろ姿を見ていたら



絶望感に似た淋しさを

抱えそうになった




そのとき


ふと

尊敬している友人が言った

言葉が思い出された



子供を18歳で家から出す時

私、この子に何もたせてあげられるかなって

思っているの




そんな事

考えたこともなかったけれど


淋しさに沈んでいる暇なんてない




小さくて


手間のかかった


そして

あんなに煩わされたはずの


息子は私の背をだいぶ越して


今年、15歳になる




あと3年か…



はっとした




彼が


「家を出るときに、もたせたいもの」


何だろう…



まだ、明確じゃないけど




そのために


出来ることは


もう少し


ありそうだ…