あの日


息子は

勢いよく狭い坂の上から降りてきた車を

避けきれなくて




自転車ごと


側溝に落ちた





祖母が誕生日に買ってくれて


大切にしていた自転車は


ボロボロになって


パンクしていた




おもちゃは飛び散って砂まみれだった




うちから数十メートルの小道で


まさか

そんなことになっていたなんて…




いい人が来て

散らばったの(おもちゃ)拾うの

手伝ってくれたんだよ!



息子は

汚れた手を洗いながら言った





狭い坂道、

真ん中を走って登ってきていたら


側溝に落ちずに、

轢かれていただろう…



スッと冷気をまとったように

背筋がゾクゾクした