焚き火の効果 科学的見解

 寒くなってくると焚き火をしたくなります。炎のゆらめきや薪が燃える匂いが恋しくなります。焚き火は安らぎを与えてくれ、「ゆらぎ」のかたまりのような存在だと思います。
 本ブログではすでに「焚き火の魅力」等について掲載させて頂いていますが、今回は日本焚き火コミュニケーション協会のホームページより焚き火の効果という記事から、焚き火の癒し効果に関わる科学的見解についての部分を転載させて頂きます。焚き火で安らぎを感じてくれる人がもっと増えるといいなあと思っています。 

 焚き火に癒し効果があるのかの科学的見解には諸説あります。ここでは代表的なものを3つ挙げてみます。

◆一つ目は大阪ガス技術研究所が行った研究です。
 【火にはなんらかの心理的効果があり、コミュニケーションを促進する効用があるのではないだろうかという仮説をもった。環境心理学の分野では、「自然の風景には癒しの効果があり、見ていると集中力が回復することがよく知られており、火にも同様の効果があるのではと考えたのである。
 そこで、部屋に暖炉があって火が見える条件と暖炉がない条件を設定し、それぞれの条件において初対面の二人が会話をする実験をすることで、火にコミュニケーションの促進効果がある】
 という結果が得られています。関西学院大学の実験でも同様に暖炉の火の前にしばらくいた被験者はリラックス感や人生への肯定感が上昇したことが確かめられています。
 
◆二つ目は米国科学アカデミー紀要に寄せられた研究報告です。
 【ナミビア・ボツワナのジュホアン族に関する研究によると、夜のたき火の明かりには人々の想像力をかきたてる効果があり、また、たき火があることで夜の活動時間が延び、自給自足の生活を営むための時間以外の社会的な営む時間が確保されるため、物語を話しやすくなる。
 火明かりのもとで伝えられた物語は、聴衆に語り手と同じ情緒的な波長を与える効果もある。人類の祖先のコミュニティにおいても同様に、炎が人々の心を拡張させて社会的関係の充足に貢献したと考えており、想像力を介して精神的理論を引き起こし、コミュニティにおいて協力や信頼関係の形成に重要な役割を果たしていた】
 との文献があります。

◆三つ目は「ゆらぎ」による効果です。
 規則性のない空間的・時間的な変化や動きのことを「ゆらぎ」と言います。自然界に存在するさまざまなゆらぎ現象のひとつに「1/fゆらぎ」と呼ばれるものがあります。
 1/fゆらぎは、木もれ日、水の流れる音、波の音、暖炉の炎のゆらめき、ろうそくの炎、風に揺れる木立、雲のながれ、雨の音などにあらわれます。
 規則的でもまったくの不規則でもない調和がとれた状態である自然界のゆらぎが人間の生体活動にいろいろ影響を及ぼしていると言われています。心を落ち着かせ、鎮静効果をもつと言われています。
 こうした環境に身を置くとき、人間の脳からα波が出てきます。α波は脳が休んだリラックス状態をつくります。
 1/fゆらぎを世に問うたのは、物理学者で東京工業大学名誉教授の武者利光氏です。焚き火にはこうした1/fゆらぎ効果があります。      以上