風邪を引いたりお腹をこわしたりしたときドイツではまず内科、いわゆるホームドクターに行く。そして薬を処方してもらい、その薬名や分量が記載されたレツェプト(レシピ)を持って薬局にいき薬を買う。必要であれば専門医あての紹介状を書いてもらって専門医の所に行く。
ドイツに来たばかりの頃、そのホームドクターの待合室で驚いたことがあった。隣の椅子に座っていた20代半ばの女性がしくしく泣き出したのだ。病院の待合室で泣き出した人などそれまで見たことがなかったので一体どうしたのかとびっくりして、そっとしておいたほうがいいのかとも思ったが、つい
「大丈夫ですか?」
と声をかけてしまった。
「彼に振られちゃったの。辛くて辛くて、もうどうしていいかわからなくて. . . 」
こんな状態じゃ仕事なんかできない。だから会社に提出するための(= 会社を病欠するための)診断書をもらいに来たのだった。私はもっと驚いた。まずそんなプライベートなことを見ず知らずの他人にペラペラしゃべっちゃっていいのか???
「たるんでるから病気になるんだ!」
とか
「気合いを入れてさっさと会社に来い!」
だなんて理不尽なことを日本だったら言われそうである。そもそもそれ以前に、医者を目の前にして、失恋して辛いから会社を休みたい. . . だなんてことを平気で言える勇気のある日本人がどれほどいるか。
私のほうが先だったので結局どうなったかわからないが、ここは日本とは違う。彼女はきっと望み通りに、風邪とか何かの理由で1週間の病欠診断書と精神安定剤でも処方してもらったに違いない。
















