霧の中を行けば | 1級フードアナリスト ユピロ菌の迷える子羊達へ

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悩んでいたときに救ってくれた言葉や料理をおすそ分け。仏教に自分で掛けた首輪は自分でしか外せないという言葉がある。悩みを解決してくれるのは宗教でも他人でもない。自分自身でしか解決できない。


僕はどうしようもない孤独感に苛まれ

寂しくなった時に、自分を見つめ直すために

行くところがあります。

それは以前に、このBlog ↓ でも紹介したことのある

http://ameblo.jp/yupirokin/entry-11507681599.html

「相田みつを美術館」です。

今日は、その相田みつをさんの著書

角川文庫「いちずに一本道 いちずに一ツ事」から

「霧の中を行けば」の章を中略しながら紹介したいと思います。


 


市内のある寺で行われた短歌の会の席でした。

当時の日本は、アメリカや中国を相手に戦争をしており、

敗戦の色が日増しに濃くなり世の中は暗くなるばかりでした。

その中にただ一人、和服姿の人がおりました。

絡子をつけておりましたので、ひと目でお坊さんというのが

わかりました。それが武井哲応老師でした。

そのときの会は各自が持ち寄った歌を小さな紙切れに書いて

受付に出すという形でした。

参加者全員の歌が書き終わると・・・それを順番に

お互いに批評しあうというやり方でした。

参加者の中では私は最年少で、しかも初めてですから、

黙って一人ひとりの話を真剣に聞いておりました。

やがて私の歌が批評される番になりました。

老師は私の歌の方は見ません。

短くなったタバコの吸いガラを青い陶器の灰皿の底に

ていねいにこすりつけると、ゆっくりと

ひとりごとのようにつぶやきました。


 


「あってもなくてもいいものは、ないほうがいいんだな」

それから少し間を置いて、ようやく私の歌のほうに眼を向けて、

「この歌なあ、下の句、いらんな」

これは単なる短歌の技法の批評ではありません。

人間としての根本的な生き方を示していたのです。

「あってもなくてもいいものは・・・」とつぶやくのです。

そうすると、人間にとって、いまここを生きている自分にとって、

何がいちばん大切で、どうでもいいものは何か?

ないほうがいいものは何か?

ということが自然にわかるようになってきたのです。


 



「霧の中を行けば覚えざるに衣しめる」

深い霧の中をお坊さんが歩いてゆきました。

気がついてみると衣がびっしょりと濡れていた、

ということです。

「正法眼蔵随聞記」という本の中に出てくる言葉です。

お坊さんが着ている衣は、霧に濡らしてもらおうという

意識はありませんね。一方、霧のほうも、

衣を濡らしてやろうなどという思いは一切ありません。

霧にも衣にも、なんの意識も作為もありません。

しかし、長く霧の中を歩いていたらいつのまにか

衣がびっしょりと濡れていた、ということです。


 


さて、私たちは日常どんな霧の中にいるのでしょう?

そして自分はふだんどんな霧をまいているでしょう?

現実の生活の中では、損得、勝ち負け、愛憎などという

霧がいちばん多いのではないでしょうか。

そして、そういう霧の中で、自分自身の欲ばり(貪欲 とんよく)、

いかり(瞋恚 しんに)、ぐち(愚痴)という霧を、

まわりの迷惑もかまわずにまき散らしているのではないでしょうか。


「そのときの出逢いが人生を根底から変えることがある

 よき出逢いを」

亡き師、武井老師との出会いがなければ、いまの自分は

なかったことだけは確かです。

いつ、どこで、だれとだれが、どんな出逢いをするか?

どんなめぐり逢いをするか?

それが人生にとってはいちばん大事なことだと私は思います。


 


僕は来年年男になります。

しかも未年未月未日羊刻生まれ、

人生も折り返しに入っていると思います。

僕らは、もうそろそろ

周囲に、どんな霧をまき散らしているのか

心に手を当てて、冷静に見つめ直すべき時期に

きているのだと思います。

そういう歳になろうとしているし、

そうでなければいけないと思います。

自分の年を考えてみてごらん。

浮かれている歳ではないはずです。

この1年は、そう自分に言いきかせ生きたいと思います。

僕は貴方にとって必要のない人間ですか?

「あってもなくてもいいものは、ないほうがいいんだな」

僕は貴方にとって必要な人間でありたい。

一人じゃないよ「Ai Story」

http://www.youtube.com/watch?v=Ku8ia8aAGwU

僕は、よく考えてみたいと思います。


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