今東光は中学三年生の一学期に
関西学院を諭旨退学となる。
そして転校した兵庫県豊岡中学も
その二学期には退学処分となる。
去る日、但馬平野の駅に見送りにきたのは
校長だけだった。
その校長が言う。
「失望することなかれ！」
どんな窮地に落ちようと、
どんな場合でも、失望した時が
本当の一番最悪の状態だ。
お前は不良少年の烙印を押されて退学になり、
東京に行っていろいろな目にあうだろう。
だが、「俺はダメだ。確かに不良だ」と思った時が
本当の不良になった時だ。
だから、失望することなかれ！
なんにでも失望した時が
お前の負けた時だ。
この言葉は今東光にとって
生涯忘れえぬ言葉となった。
そして「極道辻説法」の中で
読者の
「川端康成は自分で
自殺は悟りの姿ではない
と言いながら、何故自殺したか」という
問いに対して、こう答えている。
「とにかく自殺は敗北だよ。
そりゃ川端がどれほどの美辞麗句を
連ねようと、また同様に芥川も、
二人とも完全な敗北さ。
はっきり言えることは、両方とも作家だから、
行き詰ってニッツチもサッチもいかなくなった場合に
死んでいる。
金は入ってるし、地位、名声はあるし、
二人とも何にも文句の言いようのない状態で
死んでいるね。
これは自分の才能の限界が見えたのか
どうかは知らんが、とにかく自殺は敗北だよ。
自殺だけはどんな理由があろうと、
絶対しちゃあいけないよ。」
「失望することなかれ」
良い言葉だと思います。
この言葉には深い意味があります。
感受性の強い人には心に沁みる言葉です。
小説を書くということは愛です。
これは今東光も瀬戸内寂聴も言っています。
だから、二人とも感受性が強いのですネ。
こんな記事を書きながら
僕は最近、人生で初めて
人に対して、その人間性に失望しました。
もう僕には無理です、限界です。
極力本心で嫌いな人は作らない、
人の良い所だけみようと努力してきましたが、
人間性、感情や表現、友の幸せを
常に考えてきた僕を完全に否定されたからには
もう無理です。
このＢｌｏｇは僕の日記なので
こんな事を書くのを許して下さい。
でも、僕も人間として
未熟であることも再認識しました。
広い暖かい心をもてるように
頑張らなきゃ。
ごめんなさい。
