また迷路にはまりかけていた。ゆういちの日々の過ごし方、テスト勉強への集中力、色々気になって少し追い立てていた。私自身が焦っていた。

偏差値教育に陥ってはいけない。それは即ち競争社会に放り込む事。そっちに行ってはいけない。

目標はゆういちが幸せになる事。幸せは必ずしも競争に勝ち抜いて獲られるものではない。むしろ競争は呪縛となり、幸せへの道を見えなくしてしまう事が多い。

自分を見つめ、自分を見つける。自己実現。足るを知る。感謝して生きる。

他人との競争は自己存在を見えにくくしてしまう。勝つ事が価値。そこには個人の存在意義が見えてこない。個性の尊重、自他の尊重はない。人間の存在を危うくする。

生きる価値を高め、生きる意味を深める事。その視点を忘れずにゆういちと共に歩く事が必要。それこそが幸せへの確かな道。

生きるって素晴らしい、そう思える事が身の回りにたくさんあるはずだ。その一つ一つを見つけ、ゆういちと共有して行く。その道は必ず幸せにつながっている。

例えば、一番大切なピアノ。

プロになるためにはあれも必要、これも必要と焦れば焦るほど道は遠退くばかり。

街にはいくつもセッションの場がある。みんな温かく受け入れてくれる。その一つ一つを大切にしよう。どうすればみんなと一緒に楽しく演奏でき、聴いている人も含めてみんなで音楽の喜びを分かち合えるか。そう、大切なのは「プロのピアニストになる」事ではなく、「ピアノを弾く喜びを生涯味わい続ける」事だから。

英語学習も同じ。留学や将来のグローバルな活動のためにまずはTOEFL500点が目標。でもテストに囚われてはいけない。テストはあくまで客観的指標の一つ。言葉はコミュニケーションツールだから、何よりもコミュニケーションする事が大切。片言でいい。ランゲージエクスチェンジサービスのSNSを利用すればネイティブとお互い助け合い励まし合いながらたった今から交流できる。

英語以外の学習もそう。将来の様々な選択肢を狭めないためにはそれなりの知識・成績・資格が必要。でもだからと言って試験勉強に囚われてはいけない。逆に可能性・世界を狭めてしまう。「本当の勉強」を心がけるべき。学ぶ事の喜び。知らない事を知り、感じ、思い、考え、驚き、感動し、それが「生きるって素晴らしい」につながる。そういう学びが未来を拓く。

こどもは無垢。囚われるのは大人。肝に銘じなければ。