ゆんたくシーサーRadioのゆかりんこと上原由佳利です。

今回は、財政面から先の大戦を振り返る後編です。

 

では、我が国日本はどうだったのでしょうか?
日本の場合、政府一般会計とは別に、
直接的な戦争支出(戦費)とその財源調達を管理する
臨時軍事費特別会計(会計年度:1937年 9 月~46年 2 月)が設置されました!!
政府一般会計も戦争関連経費、軍需生産拡充関係諸費、国債費などで経費が急速に拡大す
るようになりました。


 


 

 

一般会計歳出は、1935年度の22億円から44年度の199億円へと9 年間で 9 倍に増加しまし
アップ
戦費の中心たる臨時軍事費特別会計支出は、1937年度20億円から44年度735億円へと実に
37倍にも膨張、
名目 GNP に対する政府一般会計・臨時軍事費特別会計歳出純計の比率は、
日中戦争開始前には12~13%であったところ、
日中戦争時(37~40年度)に20~30%弱に上昇し,
さらに、アジア太平洋戦争期には、
41~43年度の40~60%から44年度には110%台にも達しました。
つまるところ、我が国の戦費は、
政府支出規模の国民経済に対する比率において、
最終的にはアメリカ(45%)、イギリス(60%)、ドイツ(80%)を相当に上回る水準にま
で達していたのです💦
 

各国ともに軍需景気はありましたが、
戦争が歴史上類を見ないほど急速に拡大化したため、
GNPに占める軍事費歳出総額は急上昇していきアップ
当時はどこまで行きつくのか予測は不可能だったと思います。


 


 

公債・借入金を合計すると1498億円となり、臨時軍事費特別会計歳入総額の
86.4%を占めていました。
日本の戦争財政の本体は実にその 9 割近くを借金に依存していたのです。
ドイツ、日本、イギリス、アメリカ共に公費依存による戦争財政遂行は共通でしたが、
依存度は日本は相当高いものでした💦
 

 

日本が各国と違う点は、
アジア各国を植民地ではなく、大東亜共栄圏と考えていたことでした。

当時、戦時下のアジア占領地(便宜のためにそう呼んでおきます)は
超インフレで、現地通貨の購買力は著しく低下しました。
本来ならば、円貨との交換比率(為替相場)を
大幅に切り下げて調整すべきですが、
「大東亜共栄圏」の名目からは現地通貨の切り下げを行う
ことはしなかったのです。

つまり,現地通貨と円貨の交換比率は従来のままで、
現地通貨による占領地軍事支出の膨張が、結果的に円換算での外資金庫損失額を実体以上
に膨張させました
ドンッ

 


 【表はいずれも中央大学 経済学部 関野 満夫教授の経済学輪纂より】
 

 

中国・南方という占領地での臨時軍事費支出額が急膨張しています。
日本軍が軍需物資とくに食糧などの現地調達方式をとっていたことと,
戦時下の占領地では激しいインフレに襲われていたからです波
 

中国では1936年平均(卸売物価指数)を基準にすると,
北京(華北地帯)では1943年3 月で10倍以上、
44年末には50倍に、
上海(華中地帯)では1941年秋で10倍、
43年末で100倍、44年末で約1000倍に。
さらにシンガポール(南方)では、
1941年末に比べて44年末には物価は100倍になっていたといいます爆弾ドンッ
凄まじい超インフレにあった中国、南方での

臨時軍事費支払いに相当足を引っ張られまし
た。

財政面から見ても、物資補給、兵站の考え方が甘く、
日本はもったいないことをしたと考えられます。
 

 

翻って、ドイツと比較すると、
43年度のその他経常収入370億マルクの内訳は、
外国占領地からの徴収分が280億マルク、国内からの徴収分が90億マルク(うち20億マル
クがライヒ政府から州・市町村への分与金削減によって調達)で、
植民地からの税徴収が上回っていましたショック!
ドイツの戦時財政収入に占める国内租税収入の比重は,
アメリカ、イギリスに比べると小さく、
これは、ドイツの戦時財政では、
外国占領地からの賦課徴収分が一定の収入源の役割を果していたからです。
ここには、ドイツ戦争財政の侵略的特徴が表れているといえます。
 

当時のヨーロッパ列強は、植民地政策だったわけで、
物資など植民地から徴収することは各国同等な考え方をしていたと思います。
どの国も、戦時下はインフレに見舞われ、
所得税など大幅に増税し、
軍事公債を発行していきました。
 

日本も1937年から1945年までの間に、新規国債発行額1368億円の中で
軍事公債は1084億円で全体の79%を占めました。
『昭和財政史』第4 巻(臨時軍事費)では、戦費総額を7559億円と推計しています。
その中で、国防献金その他控除額:408.4億円とあり、
国防献金その他控除額とは、

1937~45年度に国民から寄せられた国防献金のうち、
臨時軍事費特別会計歳入に、軍事費納金として計上された部分を控除した金額であり、
予算外現金として、陸軍および海軍の兵器等に支出された軍事費ですアセアセ
この項目は408億円と小さくはありません。

 

当時、国防献金は国民に広く浸透していて、
私の祖母も献金し、功労者として新聞に載ったことがあると聴かされたことがあります。
日本人が、アジア各国に横暴な負担を課さず、
むしろ、日本一国が背負っていたことも財政面からも読みとれると思います。

 

 

米国海兵隊将校のソープ(G. C. Thorpe)は、戦争を演劇に例え
「役者が立つ舞台を準備することが兵站の役割である」と考察したとありますひらめき電球
兵站が軍事理論において補助的な存在ではなく、
むしろ主要な地位を占め、軍事作戦の遂行を基礎付けることを示唆しました。
「戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る」という格言は、
そのような兵站の重要性を端的に強調したものであると言えそうです。
私たち日本人の先輩方は、

戦略戦術、兵站も、欧米の言うところの戦争のプロとは言えず
、アジアの光として、愚直なまでに武士道を貫き通そうとしていたのではないかと思います
が、結果的に大きな敗北と痛手を被りました。
 

 

戦後アメリカの戦勝パレードなどを見ると、
圧倒的な勝利の美酒に酔ったように日本人には見えましたが、
実はそうではなかった面もあることをお伝えしたいと思います。
 

 

ローマの休日などアカデミー監督賞を3回受賞したウイリアム・ワイラーが
戦後直後1946年に作った「我らの生涯の最良の年」という映画があります。
太平洋戦争から帰還し、市民生活に復帰した復員兵が直面する様々な社会問題をテーマに
した数少ない作品の一つで、1989年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録された作品でも
あります。
 

主人公はアル、フレッド、戦いで両手を失った義手のホーマーの3人の帰還兵が
帰郷に戻るところから始まります。
長年の銀行勤めであったアルは、元陸軍歩兵連隊軍曹として太平洋戦で活躍、
久しぶりに帰宅した彼は、妻ミリーとすっかり成長した娘ペギー、息子ロブの歓迎を受け
ます。
 

アルは、息子ロブを喜ばせようと、
おもむろに日本兵から奪った日本刀を取り出し、プレゼントだ、と言って渡します宝石緑
「ジャップ」という差別用語を口にする父親から

日本刀をプレゼントされたロブは、
「日本人は家族の絆を大切にすると聞いたよ」と言い、
放射能が広島に与えた影響を問い、
「レーダーやミサイルに原子力が結びつけば悲劇になるから人類は共存すべきと物理の先
生が言っていたよ」と父親に投げかけたのでした。

 

 

ある日、フレッドの勤めるドラッグストアにホーマーが訪ねてきました。
フレッドは店内のジューススタンドで、お客相手に飲み物を提供しています。
ある客がソ連の台頭と脅威を書いている新聞を忌々しく読んでいるところに、
義手のホーマーが隣り合わせてきました。
 

その客が、ホーマーの義手をジロジロと凝視して、ホーマーに話しかけてきましたほっこり
「日本やナチスは共産主義を絶滅出来たのに、

無駄な犠牲を払ってしまったんだ」と。
憤慨したフレッドは、その客をガラスカウンターに殴り倒し、解雇されてしまいました。

ナチスの功罪は別として、

日本が共産主義と闘っていたことを

知っていたアメリカ国民もいたということです。


 

 

その後、フレッドは離婚し、新たな恋もあきらめ、この地を去ろうとします😿
偶然、飛行機の墓場と言われていたスクラップ場にたどり着いた彼は、

戦場の愛機B-17が
解体され、プレハブ住宅になることを聴きます。
「未経験だが、自分を解体作業員として雇ってくれ」と頼み込みこんだのでした。
 

義手のホーマー役をしたハロルド・ラッセルは本当に傷痍軍人です。
 

この映画は、多くの復員兵を製作スタッフとして雇い入れ、激戦の悪夢のフラッシュバッ
クの場面など多くの表現に生かされていると思います。
 

3人は、大きな転機を迎え、起死回生へと向かいます。
私たちが教えられたアメリカの正義、圧倒的な勝利、というイメージは

この映画には微塵もなく、

勝利した側も、多くの苦悩や疑問がその当時のアメリカ国民にあったことを教え
てくれましたキラキラ
 

興行的にも大成功をし、第9回アカデミー賞10部門にノミネートされ
うち9部門を受賞したことは、
戦後直後の多くのアメリカ国民に支持されたことは疑いの余地はありません。
 

戦後70年、先の大戦の真実を日本人自ら検証しない限り、未来は拓かれないところまでき
ていると思います。

 

 

【日本が降伏して戦勝に喜ぶアメリカ国民 米ニューヨークのタイムズ・スクエア https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53796144より】

 

沖縄スペースポート誘致委員会HP↓

https://www.okinawa-spaceport.com/

 

 


 

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