【とある会員制バー】

神楽「はー……」
槙「……疲れた」
大谷「あーあ」

桧山「……入ってくるなりなんだ、その不景気な顔は」


三者三様にため息をつきながら入って来るのを見咎めて、桧山はかすかに眉間にしわを寄せた。


大谷「せっかく某ブランドのレセプションに行ったのに、2人がとっとと帰るってうるさくてさ」
槙「しょうがないだろ 寄って来る女がうざすぎた」
神楽「ホントだよね 揃いも揃って雑魚ばっか」
大谷「はぁ?どこが雑魚?モデルのMIKAもNANAもいたろ」
神楽「雑魚でしょ あの程度のモデルが持ってる情報にどれだけの価値があるって?」

大谷「……」
大谷「女の子の価値を計るポイント、なんかおかしくない?」

槙「そうか?俺達情報屋が情報で価値を計ることに何の疑問があるんだよ」
大谷「や、そういう問題じゃなく」

神楽「仮におかしくても、別にいいじゃん」

神楽「どいつもこいつも財布目当てって顔に書いてるような連中だったし」

大谷「分かってないな…… だからこそ、お互いさまってことで、浅く楽しむのにもってこいなのに」
槙「どういう論法だ」
神楽「てか、めんどくさい」

大谷「……もーなにこの2人。童貞?」
神楽「なんでそうなるの」


大谷「桧山、童貞に日本語が通じない」

桧山「……」

唐突に話を振られ、桧山は億劫(おっくう)そうに顔を上げる。

桧山「くだらない言い合いはそのくらいにして、さっさと飲み物を頼め」
大谷「あ、そうだった」
大谷「マスター、俺モルト」
神楽「俺はとりあえずビール」

神楽「慶ちゃんは?」
神楽「牛乳?オーガズム?カルアミルク?ピニャコラーダ?」
槙「……ふざんけんな」

槙「ドライマティーニ!」