目が覚めたら僕は虎に戻ってた
昨日、おとうしゃんに買ってもらって手袋も もう僕の手には入らなかった
くすん…
悲しくて涙が出た
『ムソクや、起きたのかい?』
おとうしゃんはがっかりする
あんなにかわいいって言ってくれたのに
お布団をかぶって涙を一生懸命ぬぐっておとうしゃんにおはようを言った
『ムソクやムソク、ほら写真を見てごらん
人間になっても虎のムソクの面影があるよ』
ムソクは虎でも人間でも
どっちもおとうしゃんの可愛いムソクだ
ほら見てごらん
おとうしゃんに言われて見た写真は
ニコニコ笑った楽しそうなムソクとおとうしゃんだった
もうムソクには入らない手袋をしている男の子
おとうしゃんに抱っこされて幸せなムソクの姿だった
ムソクとおとうしゃんが写真を見ている姿をあのキラキラ光る妖精が見ていた