職業、浪費家「柚木二郎」
柚木語録
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蛇イチゴ【正しいとはなんなのか?大切なのものは?それを問いかける傑作】

蛇イチゴ

¥3,416
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【内容】
雨上がり決死隊の宮迫博之が映画初主演を果たしたコメディドラマ。
勘当された詐欺師の兄、真面目な小学校教師の妹、リストラされたことを
家族に隠し借金を重ねる父、義父の介護を続ける日々に耐える母。
やがて一家の裏に隠れていた嘘が明らかになり…。


西川美和づいている(笑)
それほどまでに、この人は心理の描き方が巧みで
次の作品をどんどん見たくなってしまうのだけれど
この「蛇イチゴ」は、「ゆれる」の前に作られた作品で
ここでも、「家族」や「兄妹」について描く。

独特の何気ない会話に意味をもたせる手法や
表情のワンカットが、その人の心の底まで見透かす様に
雄弁に語りかける様な手法等が、盛りだくさんで
最後まで飽きる事無く、映画の世界に没頭していける。

ここで彼女が描きたかったのは
人は主観という「一面性」ではなく、「多面性」によって
なりたつ生き物で、だからこそその人を「出来事」によって
決めつけるのではなく、「真実」を見極める目が必要なのだ
という事ではないか。

そして、「大切なものはなんなのか?」

そのことを、どんな言葉で語るよりも
最後のショットで語りかけてくる

この作品は個人的には「ゆれる」を越える
傑作だと思った。
(というよりディテールが似すぎている)

星4.5


名作はいつもアイマイ【本の構成があいまいでよく解らない一冊】

名作はいつもアイマイ/西川 美和

¥1,575
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【内容】
内容紹介
『ゆれる』の西川美和監督が“誰もが知るあの文豪たち”の
文学レビューに初挑戦! 人間心理に鋭く切り込む気鋭の映画監督、
そして人生に惑うひとりの女性としての二面が垣間見える
珠玉のレビュー集です。文豪の名作10篇も同時収録しました。
巻末には業界秘話や、著者のぶっちゃけ話炸裂のエッセイ
「もう夢は見ないけど」を収録。将来を嘱望される映画監督が
初めて打ち明けるホンネとは……?

★登場作家&作品
■色川武大「たすけておくれ」■志賀直哉「痴情」■向田邦子「眠る盃」
■井上ひさし「藪原検校」■三島由紀夫「不道徳教育講座」
■芥川龍之介「トロッコ」■野坂昭如「エロ事師たち」
■遠藤周作「海と毒薬」■太宰治「メリイクリスマス」■林芙美子「めし」


先週DVDで「ゆれる」を拝見して、この人に興味をもった。
あれほど、人の心理描写を描ける人が普段何を考えているのか
それを知りたかったのだけれど、この本は残念ながら
そういうたぐいのエッセイではなく、名作のレビュー本だ。

レビュー自体の切れ味もまぁまぁで、本の構成上その「名作」の
本文を挿入してあるのだけれど、これがいらない。

もしレビューを読んでどうしても読みたくなったら
人は、黙っていてもそれを買うのだから、余計な配慮で
せっかくの西川さんのレビューが少ないのでは
本末転倒なのではないか。

この手の名作レビューなら佐藤正午の「小説の書き方」をオススメする。

ただ、最後にこの方のエッセイ「もう夢は見ないけど」が
あるのだけれど、これは抜群に面白い。
文体といい、心理描写といい、これぞ西川節なのだ。

これを読むためにこの本を買ったと思えば
あまり損をした感じはないが、レビュー本だと
思って読むとすこしがっかりする展開になる。

星2.5

サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける【それは風のような自由な発想】

サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける/箭内 道彦

¥1,575
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【内容】
アイデアは書き留めない、積極的に緊張するなど、
気鋭のクリエイティブディレクターが挫折と失敗から編み出した45の仕事術。
自分には個性やこだわりがないという人にこそ役立つ、具体的なアドバイス。



風とロックという会社、そして箭内さんの仕事には
いつも本当に目を開かされる思いになることがある。

それは仕事に、やらされている感じがまったくなく

「これ面白そうだから、やってみようよ」

そういう精神がにじみ出ているからだ。

もちろん「これ面白そう」を形にする事ほど
実際は難しい事はないので、その裏打ちされた技術や
熟考度合いは、並大抵のものではないと思う。

そんな箭内さんが書いた「自己啓発本」は
「逆自己啓発本」となって、我々の前に登場した。

自己啓発の当たり前を逆手にとって
自分なりの論理や美学を語る様は、圧巻で
それは、不自然なポジティブさから逆にネガティブを感じ
ネガティブなワードから裏のポジティブを感じる
そんな感受性の高い人には、ばっちりはまるかもしれない。

それにしても、この人はどんなフィールドでも
本当にいい仕事をする。

いい仕事をする人は、得てして本当のことを
惜しむ事無くさらけだしてくれる。

そういう無防備でありながら
風のようにつかみどころのない
一瞬のクリエイティブな空気に身を任せてみるのも
ストレスでいっぱいになった頭には
大切なことなのだろう。

少なくとも僕は相当共感した。

星4.5

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