現在時刻、14:47分。

1分間の黙とうを終え、

8年前の東日本大震災を、

自分なりに振り返っています。

 

8年前の今日、

私たちは新潟市に住んでいました。

長男が幼稚園の年中さん、

長女がプレ幼稚園生、

次男が生後10か月の赤ちゃんでした。

 

暦の上では春と言っても、

まだまだ寒かったです。

その日は、

幼稚園をお休みして、

温かい室内でノンビリと子供たちと過ごしていました。

 

そして私は、

4月から東京に引っ越すことが決まっていたので、

子ども達の幼稚園を探して、

あちこちの園に電話をかけている時でした。

 

東京の幼稚園の先生と話していたら、

突然ぐらぐらぐらっと、

大きな揺れが。

すぐに3人の子供達を抱きかかえ、

しばらくじっとしていました。

 

電話の向こう側でも、

悲鳴に似た音が聞こえました。

揺れが収まり、

電話の向こうとこちらで、

安全を確認し、

ではまた!と通話を切りました。

 

ただの地震ではなかったことが、

すぐに分かりました。

テレビをつけ、

NHKにチャンネルを合わせ、

震源地を確かめ。

当時、

陸前高田市に、

私の親しい友人が住んでいました。

 

まだ、ラインもなかった時です。

すぐに電話をしても、

陸前高田の友人にはつながらず。

 

続いて茨城や埼玉の、夫の親戚たちの安否を確認し、

あとはずっと陸前高田の友人の情報を追っていました。

 

その時彼女は、

生まれたばかりの赤ちゃんと、

幼稚園児のお姉ちゃんの、二人の子供達と一緒にいたのですが。

揺れて、

逃げるのが遅れ、

室内にいた時に、

津波にのまれたそうです。

 

両脇に娘たちを抱えたまま、

一瞬で背丈を超える、泥水にのまれたとき。

「あ、これで私たち、死ぬんだ」と、

思ったそうです。

死を覚悟して、

娘たちを渾身の力で抱きしめた次の瞬間、

水が引いて、

息が出来る状態になりました。

 

必死で気を取り直し、

泥だらけで、

娘たちを抱えたまま、

高台にある中学校に到着し、

なんとか助かったそうです。

 

新潟でも、

刻一刻、

悲惨な状況がニュース映像とともに伝えられていました。

私は、

次の日の3月12日に、

幼稚園の卒園式で、

「送辞」を読む役目がありました。

 

新潟は、中越地震が過去に起き、

福島県に隣接しています。

これは大変なことになった…と、

園の皆で話し合いましたが、

卒園式は予定通り行うことになりました。

 

私は、

送辞を、紙に書いていきませんでした。

 

できるだけわかりやすく、

今の気持ちを込めて、

一人一人の顔を見ながら、

落ち着いてゆっくりと語るように、

言葉を紡ぎました。

 

卒園生やご家族の皆様に御祝辞を述べた後、

地震について話しました。

 

「昨日、大変大きな地震が東北で発生し、

大人も、子供も、

多くの尊い命が奪われてしまいました。

皆様の中には、

被災地にご親戚の方がいらっしゃるご家庭もあるかと思います。

 

そして今もなお、

沢山の方々が

寒さと悲しみに耐えながら、

救助を待っています。

その中にも勿論、

幼い子供たちも、

同じ幼稚園生も、

生まれたばかりの赤ちゃんもいます。

 

私たちに何が出来るのか、

いま、何が必要とされているのかを、

今一度、ともに考える時です。」

 

会場で、沢山の人が泣いていました。

中越地震のことを思い出している人もいたかもしれません。

そして、

普段の、当たり前の日常がどれだけ素晴らしいものかを、

改めて皆と一緒に、

胸にきざみました。

 

そして園児たちに、はなむけの言葉を述べて、

笑顔で、私の送辞は終わりました。

 

先生たちも、泣いていました。

 

あれから8年がたち。

私たちは、

被災地の物語に、

どれだけ寄り添うことが出来たのでしょう。

あの日、突然、深い悲しみに突き落とされた方々の心を、

どれだけ思うことができたでしょう。

 

エネルギー問題も、

生じた犠牲があまりに大きすぎて、

私は原発稼働には反対です。

 

電力はこれからの時代、

益々需要は高まるでしょう。

現政府が実行していく再稼働ですが、

本当にこの国には、

その道以外、ないのでしょうか。

代替エネルギーの可能性を、

現政府はどれだけ真剣に検討しているのでしょうか。

 

課題は重いです。

しかし、支援も、

新たな取り組みも、

立ち止まることは許されません。

 

もう、なかったことには出来ないのです。

 

歩みを少しずつ、

少しずつ進める街と人の為に、

自分にもできることを、

これからも一生懸命取り組んで行きたいと思います。

 

3.11に思いを寄せて。

どうか皆様、

ともに前へ。