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思いの坩堝

モノカキになると誓った元単身赴任会社員の文章修行場です!

「小糠雨とかいうのかな」
「しのつく雨の降りしきる」
「例えば、君がさ」
「僕が」
「世界で独りぼっちのような寂しさを抱えていたとして」
「例え話だよね」
「うん。こんな雨の中、傘も差さずに立ち尽くす、ずぶ濡れの美しい女性を見つけたらどうする」
「怪しむ」
「それで」
「近づかない」
「なんで」
「だって面倒くさそうだし」
「だし」
「どんな女性かみてみないとわからないけど、きっと何か事情があるに違いないよ。特定の誰かに対する無言の抵抗とか、悲劇のヒロインへの自己陶酔とか、もしかしたら新手のナンパ待ちなのかもしれない。どっちにしても僕には関係のない話だし、自己愛の強すぎる人に付き合う時間は、僕には、ない」
「じゃあ、立ち去る」
「あんまり美しかったら、遠くから見守る」
「しょぼっ!」