著者は、現役弁護士で、ドラマにもなった週間モーニングの姉妹誌のイブニング連載の「ホカベン」の原作も手がけた方です。
裁判員制度の開始に伴い、司法制度・法曹界への注目が集まる中、検察庁という組織について、また、司法制度改革について、小説の形を借りて、それが内包する問題点を暴き出そうとしている意欲作です。
フィックションですから、どこまで誇張されているかわかりませんし、あるいは現実はもっと厳しいのかもしれません。
司法制度改革の趣旨である法曹人口の拡大は、弁護士のみを増やす結果に終わり、裁判官や検察官の人手不足は以前として続いているようです。
なるほど、新人弁護士の年収が随分下がっているとか、事務所に入れない、居候弁護士になれない新人弁護士が多数存在するというニュースを目にするに、弁護士の生存競争が激化していることは感じていました。
また、司法試験の合格者を増やしたことで質が薄まったとの話もよく耳にします。
修習中に司法修習生が不祥事を起こしたり、判事の任官希望者のうち、試験をクリア出来ない修習生が年々増加しているなどと。
この点から考えるに、リアルな話しだと思います。
つまり、現実に即した法曹界を取り巻く状況の描写自体は、リアルで重く、その点はとても楽しめますし、勉強になります。
しかし、お話しとして面白かったか?という点で振り返ると、疑問が残ります。
主人公の女性検事の造型は、狙いがミエミエで深みがないように思えますし、なにより、ストーリー自体が陳腐で、自分の先読みを超える展開が一箇所もないように感じました。
きれいにつじつまを合わせることは得意としても、空想力・想像力・妄想力の点でいまいち突き抜ける発想に乏しいように思えます。
その意味で、弁護士という職業に就いた者の手による典型的な作品だなぁと思いました。
とはいえ、それは自分が法曹界のほど近いところで、嫌というほど彼らを客観的に眺める機会に恵まれたからなのかもしれません。
また、主軸を破天荒なストーリー展開ではなく、現実の法曹界の問題点を炙り出すことに置いたために、このようにならざるを得なかったのかもしれません。
そうであれば、法曹界とは全く馴染みのない一般読者にとって、とても楽しめて役に立つ小説なのかもしれません。
果たして真実はいかに?
ご自身の目で確かめてみてください。

■検察捜査 (講談社文庫)
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