ぬ 

 

Netflixの話題作

 

【韓国配信】:2022年12月~  全16話  

制作スタジオドラゴン、ファエンダムピクチュアーズ

 

【脚本】:キム・ウンスク「シークレットガーデン」「相続者たち」「太陽の末裔」「トッケビ」「ミスターサンシャイン」

「シティーホール」

【演出】:アン・ギルホ「屋根部屋のプリンス」「秘密の森」「ウォッチャー」「アルハンブラ宮殿の思い出」「ハピネス」

 

【視聴】:Netflix

【お薦め度】:★★★★

【観たきっかけ】:朝日新聞のテレビ時評を読んで。

 

超ベテラン作家様と監督様、

過去のヒット作

てんこ盛りじゃん。

これは信頼できる

  

 絶望の淵に立たされて

 
高校時代に壮絶ないじめにあったムン・ドンウン(ソン・ヘギョ)。
ヘアアイロンで肌を焼かれ、退学まで強要される。
 
 
絶望に苛まれ、
自殺に追い込まれる。
 
いざ、死のうとした時に何かに突き動かされ、踏みとどまる。
 
この場面で私は、韓国映画「パク・ヨルと金子文子」で知ることとなった金子文子が
思い浮かんだ。
大正時代、文子は、父方の祖母のいる日本が植民地支配していた朝鮮の村に来て、お手伝いとして
働いていた。
祖母と叔母からひどい虐待を受け、川に飛び込んで死ぬ
決意をした。
足を踏み込もうとした時に、川面のきらめき、鳥のさえずり、
自然の美しさが目に入り、
何故、死ぬ必要があるのかと思いとどまったのだ。
彼女の評伝「何が私をこうさせた」に、克明に記されていて、感銘を受けたものだ。
ドンウンは、けちょんけちょんに踏みにじられたままの
自分の名誉を取り戻すために、
復讐を思いたちそれを生きるよすがにしたのである。
これは正しい道だった。
何でもいいから、生きることが
大事!
その目的が復讐でも構わないと思う。自分は何も悪くない。
  

 復讐を肯定的に

 

見始めて、納得。

前向きな復讐
人間性を取り戻すための復讐
そして、何だか、わくわく楽しくなってきそうな復讐でもあった。
だから副題に輝かしき
ってつくのね。
 
次から次への復讐の連鎖は、
息つく暇を与えない。
緻密な構成、こじゃれたセリフが知的で、集中力が
途切れる事はない。
物凄く刺激的で過激で残酷であるけれど、それだけ
力を入れたようだ。
    

 【テーマ】:

作家様がこの世の被害者の方がたへの応援
のために書いたと
おっしゃってたように
様々な虐待、パワハラ、セクハラ、性暴力、DVで
苦しんでいる人たちが
自分は悪くないことに気づき、ひとすじの光になるといい
と思わずにいられない
作品でした。
   

 【気になる俳優さん】

 

 

 

ムン・ドンウン役の

ソン・ヘギョssi

ヨン様の「ホテリア」で初めて知ってから、何度も見ていますが、「太陽の末裔」以外はどれも

孤独と淋しさを秘めた役が多いよねと思ったら、

母子家庭で苦労して育ったとか。

陰りのある役が抜群に上手いね。

同じ高校だった

同級生ハン・ヘジンとの

違いが鮮明。

もう40歳なんだ。

 

 

 

チュ・ヨジョン役の

イ・ドヒョンssi

「ホテルデルーナ」「怪物」ではドンシクの若い時の役、

「30だけど17です」

「刑務所のルールブック」では、チョン・ギョンホssiの

学生時代の役。

ブレークしたところで、エイプリルフールに駆け巡った

下段の人とのロマンスは、

嘘かもと思ったし

 

 

 

パク・ヨンジン役の

イム・ジヨンssi 初めて。

 

 

 

ヨンジンの夫ハ・ドヨン役のチョン・ソンイルssiは、

小学生の時から親が不在で、

姉と二人、祖母の介護をする

ヤングケアラー。

極貧の苦労人だったそうで、

金持ちのセリフを言うのが

難しかったと。

いやいや品のある財閥が

板についてましたよね。

43歳。

 

 

 

チョン・ジェジュン役の

パク・ソンフンssi

「太陽を抱く月」「六龍が飛ぶ」覚えてないな。

 
 

 この人、見たことがあるようで

気になってたら、

Twitterでたまたま見つけたこれ。

  

 

プン師匠の元妻じゃん!

ポーンびっくりした。

すごい破廉恥な役で、観てる方が恥ずかしくなるんだけど。

作品のために脱いだのね。

あっぱれ。

チェ・へジョン役のチャ・ジュヨンssi

  

 

イ・サラ役のキム・ヒオラssiも「怪物」に出てたらしい。

 

 

                  タトゥーの人ソン・ミョンオ役。キム・ガンウssi

 

 
 

カン・ヒョンナム役の
ヨム・ヘランssi

この方の功績がめちゃ大きい。

この重いドラマに温もりや笑顔、人間性をもたらし、

殺されちゃうんじゃないかとスリルも味わせてくれた。

47歳とは思ったよりお若いびっくりマーク

なくてはならない存在感の

俳優さんですよね。

 

 

ここからは、ネタバレます

【ネタバレリーナ感想】:

18年間に及ぶ綿密な計画は、

先の先まで見通す頭脳を持ち合わせていてできることで、

その点、囲碁はドンウンの得意分野だっただろうね。

復讐って、けっこう秘密裏に行う感じじゃないですか。

でもこのドラマは、出会う人に手の内を見せてしまい、

どうするかは相手に委ねて突き進むんです。

 

 

ちょっとハラハラするんだけど、

そこには、相手を

見極めていることと

自分が正しいという

自信があるんだよね。

あざとくも見えるが、

自分は手を汚さずに、

多分見通した計画通り、話を聞いた人が許せなくなって殺すとか、

仲間内で憎み合って

貶め合うとか、

脅すように仕向けておいて、

脅された人が殺すとか。

この筋書き通りというか、

それ以上?というほど

痛快だよね。

 

突発な筋違いには、

胸が痛むけど、

母親に顔を傷つけられて、

恥ずかしくてテントの中に

籠った後で、

ドンウンがヨジョンに

「治療したいのに我慢してくれてありがとう」

というのが、とっても上質。

 

何の罪もないヨンジンの娘イェスルの涙が一番悲しかった。

血のつながりはないものの、

娘イェスルを迷うことなく

引き取った

父ハ・ドヨンは、善き人だった。

 

5人の加害者とその親と、親とつながった警察官と、実の母、

高校の担任教師は、

極悪人だったけれど、

彼らに対峙するドンウン側の

人たちは皆、

善良な人格だったから

やり遂げられたよね。

いくら賢くても、孤軍奮闘では成し遂げられなかったはず。

最後に、人は人との

出会いや

関わりの中で生きる

意味を見つけ

相互に助け合ってこそ

生きることが

できるのだと

教えてくれている。

 

全て終えて、ドンウンは、

高校のときの夢、

建築の勉強を始めたのかと

思ったが、

それは専門外だって?

刑務所の犯罪者たちを

更生させるための勉強

をしているのかと

理解したんだけど。

 

剣舞を踊る処刑人が、今度はどんな意味を持つのか?

が興味深い。

死刑が下っている加害者に対して臨むことは、

心からの謝罪。

それを引き出せるか。

 

 

 

※お越しいただきありがとうございました。

※写真お借りしました。