椿の花咲く頃(全20話)
【韓国放送】: 2019年9月~11月 KBS
【脚本】: イム・サンチュン 「サム、マイウェイ」
【演出】:チャ・ヨンフン「キミはロボット」、「むやみに切なく」
【視聴】:Netflix
【観たきっかけ】:すこぶる評判が良いので
ドラマ自体は、「コマッスミダ」(ありがとうございます)的な、辛い目にあいながらも、けなげに生きているシングルマザーのお話なんだけど、そこにサスペンスが加わることで、スリルと面白みが増しています。でも、進行が遅くて、何しろ1話から匂わせておきながら、犯人捜しは遅々として進まないんです。16話に近づきもうそろそろかと期待したら、なーんと20話まで?ってあまりに引っ張りすぎでしょ。ちょっと長いから。普通に16話でまとめて欲しいって思いながら観ていたんですが、その17話からが盛り上がるんですね。
そしてこの長々と観ている間に、なんか私もオンサンという町に住んでいるような錯覚を覚えるほど、この町は独特の気風があり人間味たっぷりで温かく素敵な町なのでした。
”カメリア”は、「笑ってトンへ」でしっかりと覚えました。聞いたことあるって思ったら小麦粉の銘柄でしたが、日本語では椿だったとはね。
トンベクは、ちょっと幸薄げな名前なんでしょうか。
【気になる俳優さん】
カン・ハヌルssiといえば、ミセンや麗でのまじめで暗めの役しか観ていなかったけど、今回は純粋で単純で芋っぽいお巡りさんの役を、けれんみたっぷりに演じていて、その表情の多様さは面白く、上手い!と思いました。
彼が兵役に行くときに、インタビューで「小さい時から兵役に就くのが夢だったので嬉しい」と明るくしゃべっていて、えーっ?まじか。
普通はキャリアが途切れるとか、ファンが待っててくれるかとか、けがもろもろが心配だし、、ましてや人を殺める訓練をしに行くわけだから、気が重いのは当たり前だと思う。義務だから勤めを果たすために出かけていくというスタンスが妥当だと感じていたので、
この人はどうかしているっと思ったものです。
その明るさは、今回のドラマで天性の性格か?と思いました。(そんな単純なものじゃなくて不安だから強がっただけかも?人物像を知らないので何ともわかりませんが。実際の彼は大変好人物らしいですね)
脇を固める俳優さんたちがまた素晴らしいですね。
【テーマ】:親と子のつながり
【ネタバレリーナ感想】
最終回だったかな?犯人が、トンべクにお昼をごちそうになりながら、殺そうとする場面。青色吐息で迫真の瞬間ではあったが、何故そうしなかったのでしょうか?
みんなから、白い目で見られて辛いところを実際に救ってもらった恩を何気に感じていたのか。そもそも、彼が殺す理由は、自分が些細な事ながら屈辱を感じた腹いせだった。トンベクは人に対してそんな態度は絶対に取りません。ただ目撃者だから狙われたんですね。
まさに、凶器に手を伸ばさんとするときに、メールやら電話やらがわんさかと来て、多くの人がトンベクを守っているんだぞという善意の圧力をかけたおかげなのかなと解釈したのですが。
では何故、ヒャンミはあっさりやられてしまったんでしょうか?なんにも、害は与えていないのに。そこが疑問点です。どなたか教えてください。
先の犯罪から5年間空いたのは、最初は父親が犯人だと勘違いしたので、足を怪我していて歩けなかったためと推察されたが、実際は息子だったので、5年の空白が疑問になります。息子は父に罪をかぶせるために、故意に5年間を開けたのでしょうか?
父は最初息子の罪をかぶろうとします。息子は、そこで平然としていました。
いろんな親子がクローズアップされていますが、この親子は歪んだ関係でした。
捨てられたことで母を恨んで生きてきたトンベクですが、本当は愛されていたことを知り、許すことができます。ここの関係が痛々しかった。捨てても捨てられても、何年たっても親子の縁をつなぐことができた。根底になる愛情があったからこそ。
トンベクの息子ピルグが秀逸でしたね。後半は彼の態度が健気であっぱれでした。
まさに親は子どもによって親にしてもらっているようです。相互に育ち合う素敵な親子です。
そして、ピルグの実の父ジョンリョルも、望まれていないけどピルグに愛情を注ごうとします。
でもかなわず、目が覚めて、娘と妻を大事にすることに気持ちがいきました。
人間的器のでかい町の会長である母トクスンでさえも、ヨンシクを大事に思うあまり、子持ちの女性との結婚は断固反対。でも、ピルグをこぶ呼ばわりして傷つけてしまったことで、自分の浅はかさに気づくんですね。
ノ・ギュテと母の関係もクローズアップされました。そこを分析することで、妻ホン・ジャヨンは
ギュテを素直に愛し直せるようになりました。
最終回の町のみんなが一丸となって、母を助けるために協力し合う場面は、映画「タクシー運転手」を観ているようで胸が熱くなりました。おばさんパワー炸裂。
最後の最後まであんこがいっぱい詰まったたい焼きドラマ。拡げた風呂敷を綺麗に結んでの終了となりました。
※写真などをお借りしました