サイコ ジマン     クェンチャナ

       サイコ だけど       大丈夫

 

 障害を持つ兄を守らなければ

という重みのために、自分をおしころして生きてきた

精神病棟保護師のムン・ガンテ。

兄やコ・ムニョンを通して、自分自身のことに気づき、

自分を愛せるようになっていく。

彼の成長と共に兄やムニョンも人間らしく幸せになっていく

ロマンティックサスペンスコメディー。 

 

 韓国ドラマもマンネリを防ごうと、

他との差別化をはかるために設定を突拍子もないものにしようとしているのかな?

ここのところ、サイコを登場させるのが増えてきている感じ。    

 

【放送】:韓国tvNで2020年6月20日から8月10日放送の週末ドラマ

 

【脚本】:チョ・ヨン(조용) 『ジャグラス』

 

【演出】:パク・シヌ(박신우) 『ボーイフレンド』『嫉妬の化身』

 

【視聴】:Netflix

 

【お薦め度】:★★★★

 

二話までは惰性で観てたけど、

三話からテーマが見えてきて俄然面白くなりました。

中だるみを少し感じつつも、後半になるにつれて一気に感動の連続でうるうるしっぱなしでした。

すごく良かった!!

 

【気になる俳優さん】

 

まず最初に目を引くのは、コ・ムニョンのファッション

足の長さと言い、顔の小ささといい、バービー人形も真っ青よ。

ウエストは驚異の56cmとか。

よく生きていられるなあ。何食べてるんだ?

 

 

これなんかセーラームーンみたい。  

この派手な衣装で、自分の本心を隠していたのね。

スタイルと共に、アップで映るお顔の美しさも同じ人間とは思えない。

 

この、ガンテのジャージを羽織ってもむしろシックで素敵だった。

 

コ・ムニョン役のソ・イェジ。

夜警日誌、花郎でお馴染みのお姫様キャラ。

無法弁護士では、やっと普通の女の子役ながら、

けっこう激しいアクションもがんばっていた。

 

今回遂に爆裂、はじけまくり。

声もどすが利いて、ピッタリはまってたし。

彼女しかできないキャラが確立。

 

 
        
3話で登場のクァク・ドンヨンssi
「雲が描いた月明かり」では、私、パク・ボゴムより
ドンヨンssiのお顔のきれいさにうっとりでした。
あんなにかっこいい彼がまさかのあの役。
目を疑いました。
よくやった!脱ぎ魔。
しかもあんなにはちゃけて熱演しても、特別出演⁈。
特別出演というのは、ノーギャラだと聞いてます。
いい役でした。 
 
    
 

   ナム・ジュリ役のパク・ギュヨンがロマンスは別冊付録のこの子
 
問題児オ・ジユルって気づくまでに  かなりかかった。
演技力半端ない。
ジュリは最初の方の笑顔がとても卑屈にみえたもの。
 
 
サンテオッパ役のオ・ジョンセssi。
ミッシングナインで初めて見て以来、
ギョンスのスイングキイッズなど最近よく登場しています。
実力派俳優とは彼のことを指す。
このドラマの中心はサンテオッパ。
スペクトラム自閉症という、難しい役でしたが
すごくチャーミングで、可愛くて愛らしい。
素晴らしかったです。
今年の演技大賞をあげたい!!大好き、サンテオッパ!
 
ムン・ガンテ役のキム・スヒョン
最初は抑えた役なので、笑い方が「 ンフッ!!」って
弾けないところが何とも言えず可愛かった。
だんだん自分を出すようになって、
自分が自分でいいのだって分かってからは、
激しくなってキバノロに怒鳴ったりするようになる姿が す・て・き。
大変魅力的な役でした。
 
【私が受け取ったテーマ】
コメディタッチに仕上げているけど、実は重いテーマ
「優生思想」について書かれています。
 
命の価値に優劣をつけて選別する思想。
日本では、2016年に「役に立たない人間は死ねばいい」
と言って障害をもつ方たちが殺傷されるという残酷な
やまゆり事件が顕著な例ですね。
古くは戦時中のドイツの障碍者迫害に由来しているようです。
 
誰かの重荷にならざる負えない人は、
生きる価値がないのでしょうか?
このドラマのスペクトラム自閉症という発達障害をもつサンテは
蝶をみるとパニックを起こすので、
そのたびに引っ越しをしなければならないという点でも、
いちじるしく不合理で非経済的な人物と言えます。
それを受け入れて生きているガンテですが、
一度くらいは「兄なんて死ねばいい」と思ったこともあります。
そんな本音も出しきって、乗り超えたときに、
本当に大切だと思えるようになった気がします。
手はかかるけれど、実に愛らしくて、芸術的な才能もあるサンテは、
ガンテにとってもかけがえのない大切な兄であることが
十分に、視聴者にも伝わってきます。
 
経済的で合理的で役に立つことだけが人間として大切なのか?
親にとって役に立たない子は必要無いのか?
と投げかけて逆説的に応えを出してくれているようです。
 
出来の悪い子はいらないという親でも、
子どもは痛々しいまでに親の愛を求め続けます。
いつも自分のことを見て欲しいとサインを出し、
自分の居場所を探し続けます。
そんな思いが満たされないと子どもは
自己を確立できないよ。
自分が自分でいいと思えないんだよ。
親の愛情がいかに大切かが随所に盛り込まれていました。
 
 

 

【ネタバレリーナ感想】

 

 一話ずつ童話を引用しながら、話を膨らませています。

「赤い靴」や「みにくいアヒルの子」などお馴染みのものもありますが、

すべて既存の童話なのだろうか?と気になりました。

 

「ゾンビの子」とか、怖いけど切ない話だし、「春の犬」は勇気をくれそうだし。

 

「指とアンコウ」は、子育ての反面教師みたいだし

。韓国にもともとある童話なのでしょうか?

 

最後の「本当の顔を探して」はまさにこのドラマの書き下ろしですね。

 

童話などを通して、いろんな場面で逆説的な論理で攻めてくるのが、面白みがありました。

 

ついOK牧場と言いたくなる。OK精神病院の院長先生の役のキム・チャンワンssiは確か

もと歌手です。ギターの弾き語りがお上手でした。

精神病院が舞台なので、気持ちの深いところまで探っていくドラマにできたのでした。

 

サンテオッパは、高機能の自閉症スペクトラムなので、

一度インプットされた言葉は、忘れない。

「自分のことは自分でする」とか「嘘はきらい」とか。

を適材適所で何度でもブツブツつっこみを入れるのが楽しかった。

 

コ・ムニョンも同じ高機能のスペクトラムのサイコ系なので、

1番にこだわるとか、人をものとしてしか見れないので、

階段から突き落としたり、ナイフで刺したりしてしまうという怖い面もありました。

 

本質的なことより形から入るので、

”一緒に写真を撮ると家族になる”みたいな、

感覚がよくあらわれていました。

ムニョンは母親にきつく当たられていたので、

問題のある性格になってしまったけど、適切に接してもらえていれば、

そんなに攻撃的にはならずにすんだんですが。

後半はかなりぬくもりを感じられる人間になっていました。

最後は自分ではなく兄弟のために別れようとするところまで、

人の身になって考えられるようになりました。

 

このドラマの見どころは、この発達障害をもった二人が、

まわりの人たちから、温かく優しく受け入れてもらいながら

、人間性が育っていく場面です。

兄が兄らしく振る舞うことができることに

喜びを感じられるようになったところ。

涙無しでは見られませんでした。

さらに、サンテオッパは、自分が他人に必要とされる喜びまで味わい、

社会性も育って、自立するまでに成長をみせてくれました。

 

ガンテも、最初は母親から「兄を支えるために産んだのよ」

なんて言われて、幸福感のない育ちをしてきましたが、

兄との会話の中で、母親から愛情をもらっていたことに

気づいた場面は秀逸でした。

そこから彼は大きく変わった気がします。

今まで、ずっと兄を最優先にしたり、

ムニョンを真っ先に大事にしてきたけど、

最後に、自分は自分のものだと叫び、

自分が一番好きだと言えるまでになります。

本当に人を愛するには、

まず自分を愛することができないといけない。そんな深いメッセージを発しているこのドラマは素晴らしいです。

 

この二人に付き合うのはめんどくさいだろうし、

大変だけど、楽しいと思える人間性をもったガンテはりっぱだな。

 

私の一番の疑問点は、手すりから落ちて頭を強打し出血も多量のうえ、カバンに入れられて川か池に沈められたムニョンの母親が何故生きていたのか?です。この点には触れられていなかったような気がするので。

 

 

 

※画像お借りしました