酔狂な客が来た。

何と、私が働いている山奥のB&Bで結婚パーティをしたいというスウェーデン人。


半年前位に予約の連絡があったっきり、当日の一週間前位まで音沙汰なしだった、怪しい予約。

予約人数も「19人か30人か分からない」→「24人」→「26人」→「30人」 と変化。

当然会場の下見もなし。


これだけで十分謎でしょう。


でも、一応前金とかもらってるみたいだし、「きっと来る」といった感じで前日から準備を始めていた。

会場は、「庭の檸檬の木の下」。

これだけ聞くとあらステキ、と思う方もいるでしょう。

しかし!!


「庭」と言っても、皆様が思い浮かべるような綺麗な庭ではないのです。 山の中なので、ダニ、アリ、蚊、ブヨ、ハエ、何でもありの場所なのです。

ここに来てから虫刺されに悩まされている私としては、こんな所で結婚パーティをする人々の気がしれません!!全く、どんな人々なのか見てみたい。


数日前からオーナーとダイビングスタッフが頑張って作った会場はこんな感じ。


yunのイタリア料理修行日記


私は前日ちょろっとだけ準備を始め、当日は30人分のコース料理を朝から晩まで作り続ける。オーブンが一度にたくさん焼けない&火力弱いのがキツかったですね。オーブン、コンロ二つフル回転で結構要領良くやったはずなのに、準備し終わるのがギリギリになった。


メニュー


<Aperitivo>

サラミ&オリーブ

チーズ盛り合わせ

自家製クラッカー


<Antipasto>

Bruschetta

Pomodori Ripieni

Schiacciata

Parmiggiana Melanzane


<Primo Piatto>

Spaghetti alla Norma

Gnocchi Trapanese


<Secondo Piatto>

Involtini 2種

Polpettini Foglie di Limone

Salsiccia alla griglia


<Contorno>

Insalata

Patate Duchessa

Peperonata


<Dolce>

Tiramisu


&自家製ワイン&リモンチェッロ飲み放題。



いやー、こう見るとかなり作りましたね!

レストランと違って、「この日にスーパーになかったもの/高かったもの」は仕入れられて来ないので、その場でメニューを変更したりする事も。


新郎新婦は6時半頃やってきて、パーティは7時半スタート。

私はアルバのレストランで着た以来のコックコート、そして海から帰ってきた同居人の彼らは・・・


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じゃーん、カメリエレに大変身!!

いつも海パン一丁姿しか見ていないので出てきた時は大爆笑してしまった。

「なりきって」サービスを頑張っていたけれど、どう見てもホストにしか見えませんねー。


こちらはオーナー夫婦さん。

奥様もコック帽でおめかしです。


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さてさて。皆様着席されて、会が始まりましたー。

見渡すと、かなり小奇麗な人たちばかり。見るまでは「どんな酔狂な人が来るのか?!」と思っていたが、新郎新婦は美男美女だし、お客様も皆お育ちが良い感じの人たち。

ただ!!北欧人、ハンパなく飲みますね!! ワイン飲み放題を謳ってしまったが最後、お代わりの催促が来るわ来るわ。料理をしつつ、ワインお代わりの対応に追われる私。


そして、一人忙しく厨房で料理&皿洗い(お皿はいつも下げられたものを一度洗ってからの再利用!)する私の横で一番邪魔だったおじさまはこの人。(ちなみにこの写真は勝手に私のカメラで自分撮りをしていた;)


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オーナーの友達らしいが、タクシーの運転手さん。

お客様を送りに来て、そのまま居座ってしまった。

汗水垂らしながら働いている私の横でビールを飲みつつ、早口のイタリア語(しかもシチリアなまり)でしゃべり続ける。料理の動線的に非常に邪魔。

手が濡れたら、私のエプロンで拭く! 

自分が途中まで飲んだビールを「暑いだろ、いいから全部飲め」と言って渡してくる!!(実に暑くてビールが飲みたい気分だったので、嬉しいような嫌なような・・・)

さすがの私も、一番テンパっている時には、「もう、なんだよこのオヤジ!!」と日本語で叫んでいた(笑)

日本語って便利です。


会の途中ではオーナーのサプライズで、シチリア音楽を演奏する団体がやって来たり。


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オーナーの息子、5才のアンジェリーノはキャーキャー言いながら走りまわるわ、

私が料理を運ぶので外に出るたびに喜んで飛びつきまくる野犬君達はいるわ、

料理運ぶついでに誰かに拉致られて踊らされるわ、

と思ったら別の誰かに日本人女性との終わってしまった恋話を聞かされるわ(何故結婚式で?)、

とその間にアンジェリーノがパンツ脱ぎ捨てちゃうわ、

それを追いかけるホスト・・・じゃなくカメリエレのスーツは既に泥だらけだわ、

山ってことを良い事にトイレまで行かず、近くの茂みで用を足してしまうスウェーデン人はいるわ・・・


やはり、なかなかカオスの晩でした。


結局皆、蚊に刺されながら夜中の2時位まで居座った。


でも皆楽しそうで、私に会う度に「とても美味しいよ」とか言ってくれて、私も楽しい気分になりました。


翌日は皆揃ってダイビングorシュノーケリングをし、その後ビーチでBBQパーティ。

どうやら新郎新婦、一年前にうちのダイビングショップでダイビングをしたことがあるらしい。

この地が何か思い出の地だったのでしょうか。


翌日も仲の良い友達や家族と楽しそうにボートに乗る彼ら。

とても微笑ましい光景でした。

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(ちなみに、シュノーケリングの帰りに波が高くなり、新婦がゲ◯ on the boat してしまった事は・・・見なかった事にしておきましょう。)